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滝野隆浩の掃苔記

社会部・滝野隆浩専門編集委員のコラム。

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滝野隆浩の掃苔記

老いの不安に「福袋」

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「老いの福袋」を出した樋口恵子さん=東京都杉並区の自宅で、滝野隆浩撮影
「老いの福袋」を出した樋口恵子さん=東京都杉並区の自宅で、滝野隆浩撮影

 <滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)>

 「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さん(89)の新刊「老いの福袋」を読んだ。自分の恥ずかしい実体験をさらけ出して、読者に「ころばぬ先の知恵」を伝授する。東京・杉並の自宅を久しぶりに訪ねた。

 本は15年ほど前の、トイレでの失敗談から始まる。京都駅のホームのトイレは当時、和式だった。用を足して立とうとしたとき、立ち上がれない。パニックになる。やむなく湿った床にトイレットペーパーを敷き、両手をついて何とか立った。5年前にも、地方のスーパーの和式トイレで同じことになり、「死闘」となった。気づかぬうちに、高齢者は足腰が弱っている。このエピソードから、公共トイレには手すりが必要だということを訴えていく。

 介護保険制度の創設に尽力した。いくつもの役職を務め、講演で全国を飛び回った。活動的だった樋口さんも、10年ほど前から急に「老い」を自覚し始める。ヨタヨタ、ヘロヘロ。誰かの支えなしに「ヨタヘロ期」の高齢者は生活できないと痛感した。「団塊世代より15歳ほど上の私たち世代は、まさに『人生100年時代』のトップランナー。私たちのありのままを知って、これからの社会について考えてほしいのです」

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