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東京都議選2021

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「セクハラヤジ」から7年 女性議員が増えた東京都議会に残る障壁

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2014年の都議会を振り返る塩村文夏参院議員=東京都内で2021年5月14日午後3時10分、田中理知撮影 拡大
2014年の都議会を振り返る塩村文夏参院議員=東京都内で2021年5月14日午後3時10分、田中理知撮影

 あの日、東京都議会の本会議場では自分の声が聞こえないほどのヤジが飛んでいた。「早く結婚した方がいいんじゃないか」。塩村文夏さん(42)=現・参院議員=は都議に初当選した後の2014年6月、不妊治療などに関する質問中に自民党都議から女性を嘲笑する暴言を浴びた。この「セクハラヤジ」を巡り、都議会は日本中から批判された。

 その頃、自民は圧倒的な影響力を持つ最大会派だった。多数派だから許されるという雰囲気があったのではないか――。塩村さんはそう振り返る。問題の都議がヤジを認めて謝罪し、幕引きとなったものの、塩村さんは「女性差別、ジェンダーの視点からすると大きな出来事だった」と語る。

 都議会への女性参加はどうなっているのだろうか。都議選ごとの女性の当選人数は、09年が24人(18・9%)、13年が25人(19・7%)。17年は「都民ファーストの会」の女性候補が全員当選したこともあり、36人(28・3%)に増え、都道府県議会で女性比率がトップになった。

 「ずいぶん変わったと思う。ああいうヤジも表立ってはなくなった」。3歳の長男を育てる都民フの後藤奈美都議(34)の感想だ。

 後藤さんは初当選した4年前、妊娠6カ月だった。当時、都議会に産休という考えは薄く、出産で休めば病欠扱い。これには会派から問題視する声が上がり、出産や介護などでの欠席を認めるよう議会規則が変更された。議員活動の中では子育てと仕事を両立する大変さも身にしみた。その感覚を待機児童対策などに生かしたという。後藤さんは「女性やマイノリティーが抱える問題に光が当たらなすぎた。議会にも多様性が必要だ」と感じている。

東京都議会の本会議場=東京都新宿区で2021年6月1日午後1時24分、佐々木順一撮影 拡大
東京都議会の本会議場=東京都新宿区で2021年6月1日午後1時24分、佐々木順一撮影

 ただし、都議会に女性を蔑視する雰囲気がなくなったわけではない。「女はいいよな。あんまり仕事をしなくていいから」。ある女性都議は同僚男性からそう言われたと明かす。最多7期のベテラン、共産党の大山とも子都議(65)は「男尊女卑がまかり通った男社会で生きてきた人は、よほど自覚して意識を変えないと、ジェンダー平等の考えになれない」と話す。

 制度面の課題も残る。午後1時開会が慣例の都議会本会議は深夜まで長引くこともあり、子育て中の議員は子どもの預け先を見つけるのに苦労する。しかし、開催時刻を午前中に変えることには一部に反対意見があり、実現できていない。

 複数の女性都議が「難しい」と口をそろえるのは、地域での活動だ。年末には500回以上も忘年会に顔を出す議員もいるが、女性都議からは「出たい気持ちはあっても子どもが犠牲になる」「体力的に本当にハードだ」との声が漏れる。酒が入った男性有権者から「票を入れたんだから愛想良くしろ」とセクハラを受けることもあるという。

 上智大法学部の三浦まり教授(政治学)は、祭りや飲み会だけでなく、候補者同士が政策を議論するイベントなどで有権者の関心を高めて投票率が上がれば、議員も多様化していくと指摘する。その上で「今は男性議員にも多様性がない。女性にとって障壁になっているものを取り除けば、さまざまな人が働きやすくなる。民主主義にとって重要なことだ」と話している。

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