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一時的人工肛門、重い自己負担 公的保険対象外、助成求める声

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排せつ物を受け止めるための人工肛門のパウチ(袋)を付けた山田花さん(仮名)=母親の山田咲さん(仮名)提供 *写真は動画から(画像の一部を加工しています)
排せつ物を受け止めるための人工肛門のパウチ(袋)を付けた山田花さん(仮名)=母親の山田咲さん(仮名)提供 *写真は動画から(画像の一部を加工しています)

 生まれつき肛門が正常な形に作られない「鎖肛」という病気がある。治療で人工肛門をつくる場合、排せつ物を受け止める「パウチ(袋)」が必要になるが、この購入費用は公的医療保険の適用外だ。また身体障害には認定されないため、義肢や補聴器のように公的助成を受けることもできない。費用負担の大きさに悩んできた山田咲さん(仮名・36歳)は、娘がこの病気から回復した後も助成を求めて声を上げ続けている。【写真映像報道センター/丹治重人】

パウチ関連代、年間で15万円

 山田さんの娘、花さん(仮名・3歳)は生後半年の2018年6月、人工肛門を設ける手術を受けた。腸管の端をおなかから直接出し、そこにパウチを装着して便を受け止める。「子どもは動き回るのでパウチがずれ、隙間(すきま)から便が漏れる。装着に慣れるまではとても苦労した」。パウチは1枚500〜1000円ほどで月に20枚前後を使用。保護シールや肌荒れを防ぐパウダーなどの費用も含め、年間15万円を全額自己負担しなければならなかった。

 人工肛門の手術には保険が適用されるが、パウチ費用は対象外。また人工肛門を永続的につける場合は「身体障害者」に認定され1割負担で買えるようになるが、将来閉じる可能性のある一時的な人工肛門は障害認定されない。一部の自治体には独自の補助制度があるが山田さんが暮らす自治体にはなかった。

助成を求め活動、しかし…

 居住する自治体の福祉課などに相談したが、「お宅のお子さん1人のために特別予算枠を使うことはできない」と断られた。また、医療的ケア児とその家族の支援団体「ウイングス」を通じ、国会議員秘書から厚生労働省に掛け合ってもらったが「健康保険法87条を改正しない限り、国としては助成できない」との返答だった。

 約1年半の治療を経て、花さんは人工肛門を外しお尻から排便できるようになった。しかし、咲さんは当事者ではなくなった今も、医療的ケア児への理解を深めるイベントに参加して自身の体験を語るなど、助成を求めて活動を続けている。「人工肛門はデリケートな…

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