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「民意なき五輪」 発信続けるケラリーノ・サンドロヴィッチさん

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劇作家や演出家、ミュージシャンなどとして幅広く活動するケラリーノ・サンドロヴィッチさん=キューブ提供
劇作家や演出家、ミュージシャンなどとして幅広く活動するケラリーノ・サンドロヴィッチさん=キューブ提供

 劇作家、演出家でミュージシャンのケラリーノ・サンドロヴィッチ(通称KERA)さん(58)が、コロナ禍で追い込まれる演劇や音楽業界の現状、東京オリンピック開催への懸念をツイッターで発信し続けている。演劇界を代表する一人として東京パラリンピック開会式の演出担当に抜てきされたが、五輪開会・閉会式の総合演出チーム解散に伴い2020年12月に退任した。オリンピック開幕まで50日、パラリンピック開幕まで80日を切った今、どんな思いで発信を続けているのだろうか。【塩田彩/デジタル報道センター】

公演3本中止「心にポッカリ穴開いた」

 ――新型コロナウイルス感染拡大の中での1年は、ご自身にとってどんな年でしたか。

 ◆非常につらい1年でした。昨年は4本の公演を予定していましたが、3本が中止になりました。1本目は、あとはゲネ(最終リハーサル)をやって初日を迎えるだけという段階での中止でした。心にポッカリ穴が開いてしまったようで、しばらくは、ぼうぜんとしてましたね。と同時に、自分がこんなにも演劇が好きだったのかということを痛感しました。

 中止になった公演の代替としてリーディング(朗読劇)のネット動画配信も行いましたけれど、芝居を生で見せることと配信では性質がまったく違う。お客さんと一つの空間を共有することが演劇の醍醐味(だいごみ)です。そこを差っ引いて、「これ(配信)も演劇だ」と言うのは抵抗がありました。配信作品は、生の舞台でできない演出を施すことで、自分としては何とかかんとかバランスをとって充足していったんです。

 ――緊急事態宣言や公演自粛要請で、舞台や音楽ライブは厳しい状況に置かれています。

 ◆大多数の演劇関係者たちは今も、PCR検査や消毒などの感染防止対策を徹底し、気を使いすぎるほど気を使って稽古(けいこ)や本番に臨んでいます。僕は今は事務所に所属していますが、10年前までは自分で会社を運営し、制作スタッフを4人抱えていました。もし今もあの体制を続けていたなら、あっという間に潰れて演劇ができなくなっていたと思います。チケット売り上げから収入を得る仕組み上、ライブハウスなども本当に大変な状況だと思います。

パラ演出「応援したいという思い」

 ――ツイッターでは政府のコロナ対応や五輪開催の方針について鋭く批判しています。東京五輪中止を求める署名への賛同も表明しました。

 ◆以前から、スポーツイベントという本質とは関係ない部分で、招致の過程から疑問を感じていました。まず安倍晋三前首相が招致演説で、福島第1原発について「アンダーコントロール(制御下にある)」と発言したことに、がくぜんとしましたね。国内の状況を差し置いて世界に対してぬけぬけと言ってのけるのを見て、本当にひどいと感じました。ただ、その頃はまだ、「世の中にはさまざまな考えの人がいるんだから、彼らの声を頭ごなしに否定してはいけない」という思いもあった。それでもコロナ以前は、(開催反対を)そこまで強く訴えることでもないかなという思いもあったんです。

 でもコロナ禍の今は、も…

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