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動き出す地銀再編 地方経済支える青写真を

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 地方銀行が再編に動き出している。人口減少などで経営が厳しさを増しているためだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で疲弊する企業を支えるには、地銀の体力強化が必須だ。政府・日銀も再編を後押ししている。

 先月には、青森、福井両県で再編の発表が相次いだ。青森銀行とみちのく銀行は2022年4月をめどに持ち株会社を設立し、将来は合併する計画だ。福井銀行は10月、福邦銀行を子会社化する。

 新型コロナ以前から、地銀を取り巻く環境は厳しかった。地場産業の衰退で融資先は減っていた。日銀のマイナス金利政策も追い打ちとなり、貸し出しで収益を上げるのが難しい状況になっている。

 金融庁が18年に公表したリポートによると、地銀が1行になっても「不採算」の県が23にのぼる。青森、福井もそれに含まれる。

 コロナ禍の影響もあり、21年3月期は上場78地銀のうち半数近くが最終赤字か減益となった。コロナ対応で一時的に貸し出しは増えたが、貸し倒れに備えた費用もかさみ、収益が圧迫されている。

 地銀の経営が揺らげば景気回復もおぼつかなくなるため、政府・日銀は再編を促している。

 経営統合に伴うシステム投資の費用などに最大30億円程度を補助する制度が、来月にも始まる。再編や経営効率化を条件に、地銀などが日銀に預けている当座預金に金利を上乗せする事実上の補助金も導入された。同一県内の再編で統合後の貸し出しシェアが突出しても、独占禁止法を適用しない仕組みも講じられた。

 再編の本来の目的は、地域を支える役割を果たせるよう経営基盤を強化することだ。地銀や政府の都合に左右されてはならない。

 青森と福井の再編では、リーマン・ショック後に受けた公的資金の返済を急ぎたいとの思惑も見え隠れする。

 菅義偉首相は「地銀は数が多すぎる」と公言している。再編が政権の実績作りに使われるとしたら、本末転倒だ。

 特産品を生産する企業などへの出資制限が撤廃され、地銀が地場産業に関わる余地は広がった。再編にあたっては、自らの生き残りだけでなく、地元経済を支える青写真を示すことが求められる。

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