フェンスとシャッターで追い風制御 日本新を生んだ「陸上の聖地」

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
競技場の北側にあるフェンスとシャッター(開放状態)=鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場で2021年6月7日午後2時47分、野原寛史撮影 拡大
競技場の北側にあるフェンスとシャッター(開放状態)=鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場で2021年6月7日午後2時47分、野原寛史撮影

 陸上男子短距離の山県亮太選手(28)=セイコー=が6日に鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場(県立布勢陸上競技場)で開かれた「布勢スプリント」の男子100メートルで、9秒95(追い風2・0メートル)の日本新記録を打ち立てた。同競技場は追い風をある程度制御できるフェンスとシャッターを備え、走路も反発力が高いため、大記録を後押しすることで知られている。【野原寛史】

 ヤマタスポーツパーク陸上競技場は1985年、鳥取国体に合わせて大規模改修され、現状に近い形となった。海岸から4キロあまり南に位置し、鳥取陸上競技協会の新田明彦専務理事(67)によると「午後は日本海から風が流れ込み、追い風になりやすい」という。ただし風が強すぎて公認記録の上限となる風速2・0メートルを超えて「参考」扱いとなり公認されないケースも多かった。そこで2004年、風が流れ込む北側に高さ約12メートルのフェンスと開閉可能なシャッターを設置した。

山県亮太選手が男子100メートルで日本新記録を樹立した6レーンのゴール地点からスタート地点を見る。その背後にフェンスとシャッター(開放状態)=鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場で2021年6月7日午後3時55分、野原寛史撮影 拡大
山県亮太選手が男子100メートルで日本新記録を樹立した6レーンのゴール地点からスタート地点を見る。その背後にフェンスとシャッター(開放状態)=鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場で2021年6月7日午後3時55分、野原寛史撮影

 これにより追い風を2メートル以内に制御しやすくなった。6日の山県選手のレースでは、ぎりぎりの2・0メートル。新田専務理事は「6日は終始、シャッターを閉じていた。フェンスとシャッターがなければ風が強すぎ、山県選手の記録は追い風参考だっただろう。風を読んだスターターの判断も良かった」と振り返る。

 また、国内の競技場ではいち早く、五輪や世界陸上で使用されるイタリア製の「スーパーX」という高反発のゴム素材を走路に採用。脚への負担が小さく、短距離全般で好記録が出やすいとされる。

日本新記録樹立を祝う横断幕。当面、競技場に掲げられる=鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場で2021年6月7日午後3時23分、野原寛史撮影 拡大
日本新記録樹立を祝う横断幕。当面、競技場に掲げられる=鳥取市布勢のヤマタスポーツパーク陸上競技場で2021年6月7日午後3時23分、野原寛史撮影

 こうした環境整備と「布勢は記録が出やすいので大会を開いてほしい」という陸上関係者の要望もあり2009年、布勢スプリントが始まった。第1回大会では福島千里選手が女子100メートルで当時の日本新記録を樹立した。今回も東京五輪を目指すケンブリッジ飛鳥選手や多田修平選手ら国内トップクラスが勢ぞろいした。

 7日には、山県選手の日本新記録を祝う横断幕が競技場に掲げられた。平井伸治知事は「長い年月をかけて整備してきた布勢が陸上の聖地と証明されたことに感謝したい」とあいさつした。

あわせて読みたい

注目の特集