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コロナ対策が心に響かない理由 言葉の果たせる役割、終わった 国語学者・金田一秀穂さん

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国語学者の金田一秀穂さん=東京都杉並区で2021年5月25日、前田梨里子撮影
国語学者の金田一秀穂さん=東京都杉並区で2021年5月25日、前田梨里子撮影

 新型コロナウイルス感染対策のため緊急事態が何度宣言されても、コロナ慣れのためか、政府が思うようには感染者数は減っていない。菅義偉首相が「人流抑制」を掲げても、発信力を誇る小池百合子東京都知事が「東京に来ないで」と訴えても、もはやその言葉は、私たちに響かなくなってはいないか。国語学者の金田一秀穂さんに、そんな問いを投げかけた。

 「コロナの社会において、言葉が果たせる役割は終わったのではないでしょうか」。言語を研究する立場の金田一さんから出た言葉に、思わず絶句した。

 政府は「人流抑制」なる目標を掲げ、またも我慢の時と呼び掛ける。だが、そんなコロナ対策を訴える言葉が、人々の生活や行動を変えている実感は乏しい。「人流なんて言葉はこれまで聞いたこともありませんでした。コロナの世界では、標語のような新しく未成熟な言葉が次々と出てくる。テレビも新聞もそれをオウムのように繰り返す。同じ言葉を反復しても高圧的と受け取られ、人の感情には届かず上滑りしてしまいます」

 東京オリンピックの開催が近づく中、大会組織委員会の橋本聖子会長は「3徹」を掲げた。世論の反対を覆そうと、来日する大会関係者数の削減▽行動・健康管理▽医療体制見直し――という三つを徹底すると訴える。「日本人というのは、標語が好きなんですね。小池都知事が『3密』を広めたことを思えば、かつてだったらこうした標語もアピール力があったかもしれません。だが、今となっては、それが『やってる感』に…

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