鉄道会社も手荷物検査可能に テロ対策強化 国交省が改正省令

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国土交通省が入る中央合同庁舎第3号館=本橋和夫撮影 拡大
国土交通省が入る中央合同庁舎第3号館=本橋和夫撮影

 東京オリンピック・パラリンピックを前に、鉄道会社による乗客の手荷物検査が7月から可能となる。国土交通省が8日に関係する改正省令を公布した。東海道新幹線で2018年に起きた乗客死傷事件を踏まえた措置で、国交省は危険物の持ち込みを防いでテロ対策の強化につなげたい考えだ。利便性の観点から、恒常的に検査を実施する鉄道会社はないとみられる。

 改正された省令は「鉄道運輸規程」。鉄道会社による手荷物検査を認めるとともに、検査を拒否した乗客に対して車内や駅構内からの退去を求めることができる。施行日は7月1日。

 東海道新幹線の車内では18年6月、乗客3人がなたで切りつけられて死傷する事件が発生。国交省はこれを受けて鉄道運輸規程を改正し、不要な刃物の持ち込みを禁止した。だが、手荷物検査についてはこれまで、法令の定めがない状態だった。

利便性との両立難しく

 手荷物検査の実施は混雑に拍車をかけることも予想され、利便性との両立が課題となる。国交省は大規模イベント時に限り、会場近くの主要駅や新幹線駅で実施されることを想定。衣服の中の異物も検知できる「ボディースキャナー」を改札に設置し、危険物探知犬を巡回させれば、事前に不審者を絞り込めるとみる。

 だが、鉄道会社は必ずしも歓迎しているわけではない。殺傷事件が起きた東海道新幹線を運行するJR東海は、当時から手荷物検査について「鉄道の利便性を根本からなくすもの」(金子慎社長)と否定的だった。見解は変わらず、同社は「利便性を損なわずに不審行動を検知する技術はないのが現状だが、引き続き調査を進めていく」とする。

 東京駅で2019年12月、国交省と手荷物検査の実証実験を行ったJR東日本の担当者は「乗客の流動への影響を確認したが、大きな課題はなかった」と振り返る。「対象者を特定するためのセキュリティー技術や手法の検討を続けていく」と話している。

 19年11月に別の駅で行われた実証実験にはボディースキャナーも登場。国交省によると、利用者からは「大きな抵抗はない」との意見が多かったという。【岩崎邦宏】

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