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池田小事件から20年 安全な学校問い続けたい

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 大阪教育大付属池田小学校に男が侵入し、児童らを襲った事件から8日で20年がたった。

 児童8人が死亡し、教員を含む15人が重軽傷を負った。校門の施錠や防犯カメラの設置など、安全対策を強化する契機となった。

 だが、小学校内や登下校中の事件は後を絶たない。

 2005年に大阪府寝屋川市の小学校で、卒業生が教職員3人を殺傷した。19年には川崎市で包丁を持った男が通学バスを待つ児童らを襲い、20人が死傷した。

 池田小事件後、危機管理マニュアルの作成が各校に義務付けられた。防犯器具の配備や防犯用ブザーの配布などハード面の対応は大きく進んだ。

 一方、日常的な対策として文部科学省は、登下校時は教職員らが校門に立ち、子どもの安全を見守るよう通知を出している。

 しかし、毎日新聞が県庁所在地と政令市、東京23区の計74市区を対象に実施したアンケート調査では、自治体の約6割が、通知が各校で守られているかどうかの実態を把握していなかった。

 文科省が通知を出すだけで運用を点検しなければ対策は形骸化しかねない。実際に池田小事件では過去の教訓が生かされなかった。

 事件の約1年半前、京都市の小学校で2年生の男児が男に刺され死亡した。不審者侵入防止の安全対策を実施するよう通知が出されたが、徹底されなかった。文科省はそれを反省し、池田小事件の遺族に対し謝罪したことを忘れてはならない。

 ある遺族は自治体が各校の取り組みを把握していない現状について、「今、子どもたちが安全に学校生活を送れていることを当たり前のことと捉えず、池田小の事件を振り返り、もう一度原点に返って見直していただきたい」とコメントした。

 文科省は通知を出せば事足りるという姿勢を改め、再発防止策の実効性を高めなければならない。

 人員や予算に制約がある学校だけで対応するには限界がある。地元の自治会や警察などと連携し、地域で見守る活動に広げていくことが重要だ。

 安全な学校を実現するため、何ができるのか。国や自治体も問い続けなければならない。

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