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トヨタのパワハラ自殺 企業の意識改革で根絶を

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 トヨタ自動車が、若手社員の自殺は上司のパワーハラスメントが原因だと認めた。豊田章男社長が謝罪し、再発防止を約束して遺族と和解した。

 パワハラや長時間労働を苦にした若手社員の自殺が、電通や三菱電機といった大企業で相次いでいる。ハラスメント行為の根絶には、企業の意識改革が不可欠だ。

 亡くなったトヨタ社員は上司から繰り返し叱責されて適応障害を発症し、休職した。管理職はパワハラの情報を把握していたにもかかわらず十分調査せず、復職後も上司の近くで働かせていた。対応に問題があったのは明らかだ。

 トヨタは労働基準監督署の労災認定を受けて事実関係を認め、再発防止策を講じた。

 管理職の人事評価に部下の意見を反映させたり、専門医が当事者や上司との面談を重ねながら職場復帰を支援したりする取り組みを進めているという。

 昨年施行されたパワハラ防止法は、大企業に相談窓口の設置などを義務づけている。対策を怠れば、行政指導の対象となる。

 問われるのは、こうした施策の実効性だ。

 厚生労働省が3月に発表した実態調査によると、パワハラを受けた従業員のうち、社内窓口に相談した割合は5・4%にとどまる。35・9%は何もしなかった。

 相談内容が漏れてさらに事態が悪化しないか心配したり、会社に相談しても解決できないとあきらめたりする人が多いためだ。

 密室でのハラスメント行為は事実確認が難しい。被害者が孤立しないよう、同僚や家族、労働組合が悩みを受け止める必要がある。弁護士など外部の専門家との連携も欠かせない。

 無理な経営目標や、管理職の能力不足がパワハラを誘発することも多い。東芝やかんぽ生命では、経営陣による過大な要求で現場の負担が増し、不正につながった。

 政府に寄せられた労働関連の相談のうち、パワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」は過去5年で4割増え、深刻さは増している。

 問われているのは企業統治そのものだ。経営陣はこれまでの教訓を踏まえ、従業員が安心して働ける職場環境の整備を急がなければならない。

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