米議会乱入事件 警察、事前に情報把握もリスク過小評価 上院報告書

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
米連邦議会に乱入し、警官隊とにらみ合うトランプ前大統領の支持者=ワシントンで2021年1月6日、AP 拡大
米連邦議会に乱入し、警官隊とにらみ合うトランプ前大統領の支持者=ワシントンで2021年1月6日、AP

 米上院は8日、1月6日の連邦議会乱入事件の警備体制に関する報告書を公表した。議会警察の情報部門は事件の半月前から「議会襲撃が起こり得る」との情報を把握していたが、リスクを過小評価し、組織内での情報の周知や具体的な対策強化を怠っていたことが明らかになった。

 調査は上院の議会運営委員会と国土安全保障委員会が合同で実施し、議会警備を担当する議会警察や政府当局者から聴取した。警備や情報収集体制の検証が目的で、事件の原因などは調査対象外だった。

 報告書によると、2020年の大統領選の敗北を認めないトランプ大統領(当時)や支持者らは20年12月、連邦議会が21年1月6日に選挙結果の公式集計を行うのに合わせて、ワシントンでの抗議運動を呼びかけていた。

 議会警察の情報部門は20年12月中旬、集計当日の混乱を予想し、リスク評価を開始した。同21日の議会警察幹部への報告書で、トランプ氏に共鳴する白人至上主義組織などをリスト化。関連のウェブサイトで議会敷地内の見取り図などが示され「銃を携帯しろ」「議会に入り、議場の外で待機だ」といったやり取りが交わされていることを記した。市民や他の情報機関からも危険性を指摘する情報が寄せられ、1月3日の最終評価では「暴力事件に発展する恐れがある」と指摘した。

 しかし、議会警察内で広く共有される1日1回の情報リポートには、リスク評価の結果が反映されず、抗議運動が起きる可能性について事件当日まで「まず起きない(1~5%)と可能性は低い(20~45%)の間」と評価されていた。

 リスクを過小評価したことについて、議会警察幹部は調査に「従来のデモと同じような認識だった。暴力が起きることは想定していたが、数千人規模の軍隊のような攻撃は予期していなかった」と釈明した。

 報告書は、大規模な暴動に対処する訓練を受けていたのは議会警察官1840人のうち160人ほどに過ぎなかったことや、ヘルメットや盾、ガスマスクなど基本的な装備が不足していたことも指摘。国防総省や連邦捜査局(FBI)、国土安全保障省などとの連携や情報共有が不足し、州兵の応援が遅れたことなどを批判し、関係機関に再発防止策の徹底を求めた。

 報告書は事件の経過を説明する中で、1月6日にトランプ氏が支持者向けに演説した後に乱入が起きたことにも言及したが、因果関係には触れていない。民主党は事件を総合的に検証する超党派の独立調査委員会の設置を求めているが、共和党の大半が反対し、頓挫している。【ワシントン秋山信一】

あわせて読みたい

注目の特集