神奈川県警の懲戒処分、5年で3割未公表 専門家「信頼損なう」

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神奈川県警=山本明彦撮影 拡大
神奈川県警=山本明彦撮影

 神奈川県警が2016~20年に懲戒処分を下した計68件のうち3割にあたる20件を公表しなかったことが、毎日新聞の開示請求で判明した。中には酔い潰れた同僚に性交した警部補に対する免職や、酔った女子大生に性交した巡査部長に対する停職など法令違反が疑われるものもあった。県警は警察庁の指針に基づき、被害者が特定される懸念がある場合は非公表としていると説明するが、専門家は「県民の信頼を損なう」と指摘する。

 開示された資料によると、懲戒処分にしたのに報道発表しなかったのは、16年3件▽17年5件▽18年4件▽19年6件▽20年2件――の20件あった。種類別では免職1件、停職1件、減給14件、戒告4件だった。

 免職となった警部補は18年1月、レクリエーションで県外のホテルに署員らと宿泊し、酔って意識が混濁した状態の同僚に性交した。資料には「不適切行為(準強制性交容疑)」と記載されていた。同年4月に地方公務員法などの信用失墜行為に抵触するとして処分を受けた。

 また、停職6カ月となった巡査部長は19年1月、横浜市内のホテルで酔った状態の女子大生と性交した。このほか、戒告処分を受けた巡査部長は19年4月、交際が終わった女性看護師に4回電話するなどのストーカー行為をした。いずれも公私の別を記載する欄で「私的な行為」を意味する「私行上」にチェックが入っていた。

 資料に処分時点で刑事裁判になっていないことは明記されている。毎日新聞は未公表の事案について、県警監察官室に横浜地検へ事件送致したかどうかを尋ねたが、「回答を差し控える」と明らかにしなかった。

 同室はこうした事案を未公表とする理由を「警察庁の指針に基づいている」と説明する。警察庁の指針は、職務上の行為に関わる処分▽私的な行為に関わる処分のうち停職以上▽国民の信頼を確保するため発表が適当である処分――を公表するとしている。ただし、私的な行為で停職以上であっても、被害者などのプライバシーを保護する場合は例外として公表しない場合もあるという。

 刑事事件となり、裁判で有罪判決が出ても県警が公表しなかったケースもある。住居侵入罪で罰金10万円の有罪判決を受けた暴力団対策課の男性警部補が20年5月に減給処分を受けていたが公表しておらず、その後報道で明らかになった。理由として減給以下の「私的な行為」だったことを挙げた。

 県内の自治体では、県や横浜市などほとんどはいずれの懲戒処分も原則公表する。例外として被害者が公表を望まない場合やプライバシー保護の配慮が必要な場合は公表しないとする自治体もある。

 同志社大の太田肇教授(組織論)は「警察官は(捜査権など)特別の権限が与えられており、自治体職員よりも高い倫理観が求められている。私的な行為でも問題を起こせば信頼を損なう。被害者の特定につながるというのなら、特定できない範囲で公表すべきだ。身内をかばっていると疑われかねない」と指摘する。【高田奈実】

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