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「新しい生活様式」戦時中にも コロナ、日常に潜むファシズム 国際日本文化研究センター教授・大塚英志さんが警鐘

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東京都の要請により看板などの明かりが消えた渋谷のスクランブル交差点周辺=東京都渋谷区で2021年4月25日、大西岳彦撮影
東京都の要請により看板などの明かりが消えた渋谷のスクランブル交差点周辺=東京都渋谷区で2021年4月25日、大西岳彦撮影

 コロナ禍の現状を戦時下の出来事に例える言葉が広がっている。東京都が3度目の緊急事態宣言に伴い「午後8時以降の消灯」を商業関連団体に呼びかけた際には、ネット上で「令和の灯火管制」という言葉が駆け巡った。実は、2020年春の感染拡大初期から、コロナ禍と戦時下の共通性を指摘してきた人がいる。国際日本文化研究センター教授の大塚英志さん(62)だ。日常が戦争にのみ込まれていった時代を繰り返さないために、今必要なことは何なのか。

 新型コロナウイルスの感染拡大で初めての緊急事態宣言が発令された20年春。薬局やスーパーからマスクや消毒用アルコール液が消え、開店前の店先には長蛇の列ができた。厚生労働省は「新しい生活様式」と題し、手洗いの励行、マスクの着用、身体的距離の確保を提示し、人々に行動変容を訴えた。

 外出自粛により自宅で過ごす時間が増える中、家庭菜園や料理など「おうち時間を楽しもう」という呼びかけも広がった。東京都は公式ウェブサイトで、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんが「断捨離」について解説する動画を公開。感染防止対策に追われる小池百合子都知事は、定例記者会見で体調について尋ねられ、戦時中のスローガンを引用してこう答えた。「大丈夫です。撃ちてし止(や)まん型ですから。(中略)みなさんとともに、このコロナに打ち勝っていきたい」

 この状況をいち早く戦時下に例えたのが大塚さんだった。元々、漫画やアニメーションなどの大衆文化や戦時下の生活文化などを研究してきた。20年5月、コロナ禍と戦時下の共通性を指摘した論考をウェブ上で発表し反響を呼んだ。自粛や生活の簡素化が求められていることや、「感染防止」の名の下に個人の行動が制限されることに違和感を表明しにくい…

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