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党首討論と五輪 開催の意義を語れぬ首相

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 新型コロナウイルス禍のさなかで、なぜ東京オリンピック・パラリンピックを開催するのか。国民の安全は確保できるのか。菅義偉首相から納得がいくような言葉は聞かれなかった。

 2年ぶりに国会で党首討論が行われた。立憲民主党の枝野幸男代表は「最大のリスクは、開催を契機に感染拡大を招くことだ」と指摘し、首相の考えをただした。

 これに対し首相は1964年の東京五輪の思い出を長々と語ったうえで、「新型コロナという困難を乗り越えることができたことも日本から世界に発信したい」と語った。

 観客を入れるかどうかの判断は、国際オリンピック委員会(IOC)などが方向性を今月中に決めると述べるにとどめた。

 政府分科会の尾身茂会長は、開催によって感染リスクが高まると指摘している。共産党の志位和夫委員長は「そうまでして開催する理由は」と迫ったが、首相は「尾身氏の意見も参考に感染対策の詰めを行う」とかわした。

 開催の意義や「安全・安心」の根拠を聞いているにもかかわらず、まともに答えなかった。

 首相はワクチン接種の拡大に躍起で、「10月から11月にかけて希望する国民すべてに終えたい」と強調した。しかし、五輪までに接種を受けられるのは一部にとどまる。「安全・安心」の根拠にはならない。

 党首討論は、首相と野党のトップが1対1で政見を戦わせる場だ。しかし、首相は正面から答えず、枝野氏も突っ込んで問いただすことはなかった。

 与党は会期末の16日で国会を閉じる方針だ。首相が国会で説明する機会はなくなってしまう。枝野氏は国会でコロナ対応にあたるべきだと会期延長を求めたが、首相は応じる姿勢をみせなかった。

 首相は東京五輪を「平和の祭典」と説明している。しかし、そんな抽象的な表現では、国民の不安や疑問は払拭(ふっしょく)できない。開催ありきで突き進むことは許されない。

 五輪について「国民の命と健康を守るのが私の責任。守れないなら、やらないのが前提」と、首相は繰り返している。そうならば、どのようにして守るのか。分かりやすい言葉で語る責任がある。

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