「東芝と経産省が一体で株主提案取り下げ画策」 外部検証報告書

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東芝=東京都港区で、内藤絵美撮影 拡大
東芝=東京都港区で、内藤絵美撮影

 東芝は10日、2020年7月の定時株主総会が公正に運営されていたかどうかに関する外部弁護士の調査報告書を公表した。報告書は、この総会を巡り、経済産業省の現役課長や参与が東芝の一部株主に議決権を行使しないよう圧力をかけた疑いを指摘。「東芝は経産省といわば一体となり、(株主の)投票行動を変更させる交渉を行うよう事実上依頼した」として、「公正に運営されたものとはいえない」と結論づけた。

 調査は東芝の大株主で、旧村上ファンド系の投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が提案した弁護士3人を中心に実施。東芝幹部が社内外とやりとりしたメールや文書を精査したほか、関係者の聞き取りも行った。

 報告書によると、20年7月の株主総会を巡り、東芝は同1月に公表したグループ企業による架空・循環取引に批判的な態度を強めていた「物言う株主」エフィッシモや他の株主の動きを警戒していた。報告書は、エフィッシモへの賛同が広がらないよう「(東芝が)改正外為法による規制、けん制を期待して、経産省に支援を要請するなどしていた」と指摘。経産省側が東芝に同法に基づく調査を求める「申し入れ書」や株主投票の票読みを提出するよう求めたほか、経産省課長がエフィッシモ側にたびたび接触し、同法の外資規制違反による処分を示唆したという。

 また、報告書は東芝の車谷暢昭社長(当時)が社内幹部に送ったとされるショートメッセージに「今回の主役は経産省」「経産省で門前払いできる可能性も高い」などの記載があったと指摘。車谷氏が20年5月11日、当時官房長官だった菅義偉首相に経緯を説明したと推認されるほか、同7月27日には、別の東芝幹部が菅氏との朝食会で、物言う株主への対処方針を説明したところ、菅氏から「『強引にやれば外為で捕まえられるんだろ?』などとコメントされていた」と指摘した。これについて菅氏は10日夕、首相官邸で記者団に「全く承知をしていません。そんなことはありえません」と述べた。

 東芝は調査結果への対応について「報告書の内容を慎重に検討の上、後日開示する」としている。経産省は「内容については確認中」とコメントした。東芝は今月25日に定時株主総会の開催を予定しており、エフィッシモなど物言う株主の動向が焦点になりそうだ。【井川諒太郞】

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