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米国、ワクチン5億回分を8月から外国へ提供 低・中所得国に寄付

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米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチン=福岡市で2021年4月15日、矢頭智剛撮影 拡大
米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチン=福岡市で2021年4月15日、矢頭智剛撮影

 米政府は10日、米ファイザー社から5億回分の新型コロナウイルスワクチンを追加購入し、8月から外国へ提供すると発表した。途上国などにワクチンを提供する国際枠組み「COVAX」(コバックス)を通じて低・中所得国92カ国に寄付するほか、アフリカ連合(AU、54カ国と西サハラが加盟)にも無償提供。年内に計2億回分、2022年1~6月に計3億回分を寄付する方針だ。

バイデン米大統領=ホワイトハウスで2021年6月2日、AP 拡大
バイデン米大統領=ホワイトハウスで2021年6月2日、AP

 ワクチンの追加提供計画は、バイデン米大統領が11日に始まる主要7カ国首脳会議(G7サミット)出席のために訪れた英国で説明する。

 米政府は「一つの国による最大規模のワクチン購入と寄付であり、世界中の人々を新型コロナから守るための米国民の固い決意の表れだ」と強調。米国の強みとして「民主主義の力、科学者の創意工夫、大規模な生産力」を挙げ、「世界にワクチンを届け、パンデミック(世界的大流行)に打ち勝つために米国の力を使う」とした。

 バイデン氏は、日本や欧州などの民主主義諸国にも「安全で有効なワクチンの供給のために、それぞれの役割を果たしてほしい」と呼びかける。

 米国が大規模なワクチン提供に踏み切る背景には、中国やロシアが自国製ワクチン提供の見返りに影響力拡大を図る「ワクチン外交」に対抗する狙いがある。バイデン政権は政策の柱として「民主主義と専制主義の競争」を掲げているが、単に理念を訴えるだけでなく、具体的に成果を出すことで「民主主義の優位性」を示す必要があると国内外で説いてきた。

 今回も「(専制主義国家ではなく)民主主義国家こそ、人々が必要とするものを届けるのに最適だと示す狙いがある」(サリバン大統領補佐官)としている。

 国内の感染状況が改善したことも政権を後押しした。1月の政権発足以来、ワクチン接種が順調に進み、米国内では18歳以上の約53%が接種を完了。接種が進むにつれて新規の感染者や死者が減少し、直近1週間の1日当たりの死者数は約1年2カ月ぶりに300人台まで抑えた。

 接種ペースの失速という課題はあるが、当面のワクチン確保にもめどが立ち、本格的に対外支援に踏み出す余裕が出てきた。

 今回の5億回分とは別に、米国は既に約8500万回分のワクチンを外国に提供する方針を公表している。今月3日には、このうち約1900万回分をCOVAX、約600万回分をインドや韓国、パレスチナ自治区ガザ地区などに個別に提供する計画を発表した。

 ただ、残る6000万回分は英アストラゼネカ社製で、外国への提供の前提となる米国内での緊急使用承認が得られておらず、提供の遅れを指摘されていた。新たな提供分をファイザー製に絞ったのは、米国内での雇用などの波及効果に加えて、円滑に提供を進める必要があると判断したためだとみられる。【ワシントン秋山信一】

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