詐欺容疑の元社員「再就職口利きの見返り」 近大元教授が偽造主導か

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医療機器販売会社が近畿大法医学教室に出した領収書の写し。社印が偽造されていた=大阪市中央区で2021年5月12日、服部陽撮影 拡大
医療機器販売会社が近畿大法医学教室に出した領収書の写し。社印が偽造されていた=大阪市中央区で2021年5月12日、服部陽撮影

 近畿大医学部法医学教室の元主任教授を巡る経費不正受給事件で、医療機器販売会社元社員の藤戸栄司容疑者(52)=詐欺容疑などで逮捕=は「元教授から『再就職先を口利きする。ハンコを作ってこい』と指示された」と周囲に説明していることが、関係者への取材で判明した。経費の架空請求には、同社の偽の社印が使われていた。大阪府警は逮捕された元主任教授が事件を主導した疑いがあるとみている。

 元主任教授は巽信二容疑者(66)=懲戒解雇。2人は共謀して2019年4月~21年2月、同社からマスクなどを立て替え払いで購入したとするうその領収書などを作成。大学から経費計約1780万円を詐取した疑いが持たれている。この領収書などに偽造された社印が押されていた。

 関係者によると、藤戸容疑者は19年3月末、大阪市内の医療機器販売会社を退社したとされる。この頃、以前から医療用品の納品を担当していた巽容疑者に再就職について相談。巽容疑者から再就職先の支援をする見返りとして、社印の偽造を持ちかけられた。藤戸容疑者は同市内の印鑑店で偽の社印を作り、巽容疑者に提供したという。

 藤戸容疑者は「口利きしてもらったことで依頼を断れなかった」と周囲に説明。逮捕後も「間違いありません」と容疑を認めており、府警にも同様の供述をしているとみられる。一方、巽容疑者は容疑を否認しているという。

 巽容疑者は犯罪死を見分ける法医学のベテラン。府警の依頼で年140件程度の司法解剖に携わってきたが、21年3月末の定年退職直前に不正受給が発覚し、懲戒解雇された。大学の調査でゴルフ用品や電化製品などに経費を私的流用していた疑いも出ている。巽容疑者は4月、解雇は不当だとして無効確認を求める訴訟を大阪地裁に起こしている。【木島諒子、沼田亮】

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