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「理不尽な環境にいる子どもの支えに」 関西こども文化協会

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関西こども文化協会の電話相談員たち=大阪市中央区で2021年6月2日午後5時22分、益川量平撮影 拡大
関西こども文化協会の電話相談員たち=大阪市中央区で2021年6月2日午後5時22分、益川量平撮影

 大阪市中央区のNPO法人「関西こども文化協会」は子どもの課題や困難の解決のため、活動を展開している。子どもや保護者から受けた相談には、社会福祉士や臨床心理士など専門性の高い相談員が対応しており、事務局長の蔦田(つただ)夏さん(68)は「理不尽な環境にいる子どもの悲しみを少しでも取り除き、幸せになってもらえる環境を作りたい」と話している。【まとめ・益川量平】

 協会は18歳未満の子どもの基本的人権を保障することを目的とした国際条約「子どもの権利条約」を具現化する目的で1996年に設立されました。設立当時から掲げる理念は「子どもの最善の利益の実現」です。それは、今も変わりません。子どもは子どもらしく育ち、子どもらしく生きていく必要があると考えてきました。6月現在、相談員ら非常勤を含めた有給スタッフは約100人います。

NPO法人関西こども文化協会の事務局長の蔦田夏さん=大阪市中央区で2021年6月1日午後2時53分、益川量平撮影 拡大
NPO法人関西こども文化協会の事務局長の蔦田夏さん=大阪市中央区で2021年6月1日午後2時53分、益川量平撮影

 現在は、いじめや不登校などの問題に悩む子どもや保護者を対象とした相談事業▽不登校の小・中学生に対し、再登校等を支援する子ども支援事業▽子どもらに安らげる居場所を提供する「ティーンズ・スペース」▽子どもらに温かい食事を提供する「子ども食堂」▽未就学児の親子が集まるつどいの広場――などを運営しています。20年度の利用者数は延べ約3万人でした。

コロナ禍で子どもや保護者に変化

LINE相談を告知するビラ=大阪市中央区で=大阪市中央区で2021年6月2日午後5時43分、益川量平撮影 拡大
LINE相談を告知するビラ=大阪市中央区で=大阪市中央区で2021年6月2日午後5時43分、益川量平撮影

 厚生労働省が公表した2019年の調査によると、子どもの7人に1人が貧困状態です。また、10年前と比べ、いじめ・虐待・不登校件数の全てが増加傾向とのデータもあります。こういった状況に追い打ちをかけるように、20年に新型コロナが流行しました。

 新型コロナ禍は親子の日常を大きく変化させました。子どもたちは、学校の一斉休校や授業がオンラインに切り替わり、保護者の仕事現場も、リモートワークを取り入れられるなどしています。こうした動きは、良い親子関係であれば、共に自宅で滞在する時間が長くなるので、互いの絆が深まるなどのメリットがあります。ただ、親子関係が悪化している場合は、保護者から子どもへの監視の目が厳しくなり、虐待などのトラブルに発展することもあります。

 一部の家庭では、コロナ禍により、保護者の職場の業績が悪化しているかもしれません。雇い止めを受けた保護者もいるでしょう。家庭の経済状況が悪化すると、子どもの貧困はさらに拡大することが考えられます。

 生きることに不安を抱えた子どもたちから「死にたい」「これから死ぬ」という電話相談があったこともありました。文部科学省によると、20年の子どもの自殺者は479人と過去最多を更新しました。19年(339人)比で1・4倍となっています。

 協会では大阪府や大阪市から受託され、子どもや保護者を対象に、いじめ問題や不登校、対人関係などの相談を電話で受け付けています。対応は元教員、元保育士、社会福祉士、臨床心理士など計約30人が行います。相談先は「24時間子供SOSダイヤル」(0120・0・78310)です。

「LINE」でも取り組み開始

 多くの子どもがスマートフォンを持ち、インターネットを活用する時代です。電話で通話をしたがらない子どもたちもいます。そこで、「ネットであれば気軽に相談してもらえる子どももいるだろう」と、2月から協会では、相談員が「LINE(ライン)」を用いて子どもの相談に乗る「子ども相談LINE」を運用しています。大阪府内の小・中学校や子ども食堂、学習支援拠点を通して活動の周知を図っています。

 LINEの場合は、電話相談や対面相談と違って、文字情報のみのやりとりとなります。そのため、相談員は子どもから送られてきたメッセージの言葉のニュアンスを正確に受け取ることが難しい▽会話から簡単に退出させられる――など困難もあります。一方で、子どもたちは容易にアクセスできるので、相談へのハードルが大きく下がるというメリットもあるのです。

 6月30日まで、コロナ禍の中でラインを通して子どもたちの相談に乗る相談員の人件費の捻出などに使おうと、クラウドファンディングを実施しています。返礼品として「『子ども相談LINE』の事業報告書のPDFファイル」などを送ります。CFは専用ページ(https://camp-fire.jp/projects/view/421043)から受け付けています。問い合わせは同協会まで(06・6809・5613)お願いします。

NPO法人「関西こども文化協会」

 1999年に法人化。蔦田さんは「子どものしんどさを少しでも受け止めたい。相談に乗ることで、子どもが生きるエネルギーになってもらえたらうれしい」と話している。大阪市中央区内平野町1。HP(https://kansaikodomo.com/

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