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福岡の感染、ピーク時の1割に トリアージ奏功か、怖い気の緩み

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博多駅前の交差点を歩く人たち。東京、大阪に比べ緊急事態宣言による人出の抑制効果は小さかった=福岡市博多区で2021年6月10日午後5時45分、津村豊和撮影 拡大
博多駅前の交差点を歩く人たち。東京、大阪に比べ緊急事態宣言による人出の抑制効果は小さかった=福岡市博多区で2021年6月10日午後5時45分、津村豊和撮影

 新型コロナウイルスの感染者が急増していた福岡県内の感染状況が落ち着きつつある。3回目の緊急事態宣言が発令された5月12日に過去最多の634人を数えた新規感染者は10分の1程度に減少。同様に宣言が出ている10都道府県のうち、北海道、東京都、愛知県、大阪府と比べると、人口当たりの感染者数は最も少なく、死亡率も低い。福岡県への宣言発令から12日で1カ月。期限の20日までの宣言解除も視野に入るが、専門家は「気の緩み」による反動に警戒を呼びかける。

 ソフトバンク子会社「アグープ」の携帯電話位置情報に基づく推計データによると、各地の中心地の宣言発令後2週間の人出の平均は、宣言前2週間の平均に比べ、東京都・JR新宿駅が34%減、大阪府・大阪メトロ梅田駅が42%減だった。これに対し、福岡県・西鉄福岡(天神)駅は8%減、北海道・JR札幌駅は1%減にとどまり、愛知県・JR名古屋駅は2%増えた。

 東京、大阪では大規模商業施設に休業を要請するなど、人出抑制のため厳しい規制をしたことが差に表れたとみられる。一方、5月までの各都道府県の調査によると、営業時間の短縮要請や休業要請に応じた飲食店はどこも98%以上で、明確な地域差はなかった。

緊急事態宣言後の人口10万人当たりの感染者数の推移 拡大
緊急事態宣言後の人口10万人当たりの感染者数の推移

 そうした中、宣言効果が最も顕著に出たのが福岡県だ。宣言初日に62・4人だった直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は、5月31日にはステージ4(感染爆発)の基準(25人)を下回った。宣言初日からステージ4相当を脱するまでのスピード(20日間)は5都道府県中最速だ。宣言期間を含む第4波(3~5月)の感染者で死亡した人の割合「死亡率」も5都道府県で最低の1・0%だった。

 東京、大阪ほど人出を抑制できなかったのに、比較的早く状況が好転したのはなぜなのか。福岡県内で入院先を調整する「新型コロナウイルス感染症調整本部」の本部長、上野道雄医師は「患者の症状に合わせたトリアージ(優先順位付け)を徹底し、病床とホテル療養施設を最大限活用して隔離率を『第3波』の時より高めたことが、低い死亡率や感染が早期に落ち着いたことの理由の一つでは」と分析する。

 宣言発令のタイミングも関係がありそうだ。大阪府は宣言初日の10万人当たりの新規感染者数が既に86・1人に達し、5都道府県中最多だった。結果的に一時、重症病床使用率が100%を超えるなど、医療提供体制が深刻な逼迫(ひっぱく)状態に陥り、死亡率はワーストの2・3%となった。

5都道府県の緊急事態宣言の効果や死亡率など 拡大
5都道府県の緊急事態宣言の効果や死亡率など

 また、宣言初日の10万人当たりの新規感染者数が70・9人と2番目に多かった北海道の死亡率も同じく2・3%だった。札幌医科大の當瀬規嗣(とうせのりつぐ)教授(細胞生理学)は「宣言の遅れで感染が広がり医療提供体制は一気に逼迫し、死亡率が上がった。発熱者を検査に回すのに時間がかかり濃厚接触者も増えたため、宣言が出てもしばらく新規感染者数が減りにくい状態となった」と振り返る。

 もっとも、福岡県への宣言発令が必ずしも早かったわけではなく、宣言初日の10万人当たりの感染者数は東京都(36・6人)の1・7倍。当時、宣言発令に慎重だった県は国に主導される形で渋々宣言を受け入れたが、仮にもう少し早く踏み切っていれば感染拡大をさらに抑えられた可能性は否めない。

 10都道府県への宣言期限は20日までで、政府が近く解除の可否を判断するが、福岡県内の病床使用率は9日時点で52・8%と今もステージ4の基準(50%)を上回っている。上野医師は「病床使用率は依然高い水準。変異株の脅威もあり、油断は全くできない」と話している。【吉住遊】

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