医療用大麻解禁へ 使用罪も創設 厚労省、22年法改正目指す

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押収された乾燥大麻など=東京都千代田区九段南1の九段第3合同庁舎で2021年6月2日午前10時57分、林田奈々撮影 拡大
押収された乾燥大麻など=東京都千代田区九段南1の九段第3合同庁舎で2021年6月2日午前10時57分、林田奈々撮影

 若者による大麻の乱用が懸念されるため、厚生労働省の有識者検討会(座長=鈴木勉・湘南医療大教授)は11日、現行の大麻取締法に「使用罪」を創設することなどを明記した報告書をまとめた。一方、現在国内で規制されている大麻草を原料にした医薬品について、使用を認めることも盛り込んだ。来年の法改正に向けた具体的な検討作業に入る。

 現行法(1948年制定)は大麻の所持や栽培を禁じる一方、吸引などの使用に罰則はない。神社のしめ縄の材料などに使う大麻草の栽培農家が、作業中に吸い込む可能性があるため、これまで使用罪の導入が見送られていた。

 同省は2月、栽培者の尿を分析したところ、大麻成分は検出されなかったとの調査結果を検討会に提示。これを受け、検討会は「使用に対し、罰則を科さない合理的な理由はない」と結論づけ、現行法で禁止されている所持(懲役5年以下)や栽培(同7年以下)に加え、使用そのものに対する罰則を設ける必要性を報告書に盛り込んだ。

 検討会の議論では、12人の委員のうち3人が「回復支援に力点を置く国際的な流れに逆行する」「大麻の使用が社会的な弊害を生じさせているとはいえず、制定する立法事実がない」――などと導入に反対し、薬物依存者の支援団体なども「必要なのは刑罰ではなく支援」などと訴えて、導入しないよう求めていた。

 このため、報告書には薬物依存症の治療を含めた再乱用防止や、社会復帰支援策を充実させることも併記した。

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 2020年に警察や厚労省の麻薬取締部などが摘発した人数は5273人(速報値)。インターネットの普及で若者を中心に大麻の乱用が拡大していることを受け、5年前から倍増し、過去最多となった。30歳未満の若者が65%を占めている。

 一方、現在国内で規制されている大麻草を原料にした医薬品について、使用を認めることになった。検討会は、海外からの輸入に加え、国の承認を得ればメーカーによる製造・販売も認めるべきだと結論づけた。

 大麻草を原料にした医薬品は、米国など海外の複数の国で承認され、難治性のてんかん治療やがんの痛みを抑える目的などで使用されているが、国内では大麻取締法の規制の対象で使用や輸入が禁止されている。

 検討会は、大麻草の部位によって規制してきた現行法を見直し、幻覚作用を持つ成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」に着目した規制にすることが適当であると判断。免許制度など流通管理の仕組みを整備し、使用できるよう見直しを求めた。医療用大麻を巡っては、医師などから解禁を求める声が高まっていた。【矢澤秀範】

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