自民・岸田氏、「新たな資本主義を創る議連」発足 方向性は定まらず

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自民党の岸田文雄前政調会長(左から3番目)が発足させた「新たな資本主義を創る議員連盟」に参加した(左端から)甘利明税制調査会長、安倍晋三前首相、麻生太郎副総理兼財務相=国会内で2021年6月11日、小田中大撮影 拡大
自民党の岸田文雄前政調会長(左から3番目)が発足させた「新たな資本主義を創る議員連盟」に参加した(左端から)甘利明税制調査会長、安倍晋三前首相、麻生太郎副総理兼財務相=国会内で2021年6月11日、小田中大撮影

 自民党の岸田文雄前政調会長が11日、派閥横断型の「新たな資本主義を創る議員連盟」を発足させ、会長に就任した。9月の菅義偉首相の総裁任期満了を前に党内の足場を構築する狙いで、安倍晋三前首相ら150人近い自民議員が顔をそろえた。ただ、新議連の方向性は定まっておらず、他の党内抗争に利用されて終わりかねないと足元の岸田派から不満も出ている。

 「いわゆる3Aがそろい踏みで、(取材の)マスコミの皆さんはさぞ喜んでおられるだろう」。岸田氏は11日、新たな資本主義の価値構築をうたう議連の設立総会で、高揚した様子であいさつした。会場では党内で最近「3A」と称される安倍前首相、麻生太郎副総理兼財務相、甘利明税制調査会長が岸田氏と並び、国会議員145人と代理の秘書61人が出席した。

 岸田氏は2020年9月の総裁選で菅首相に大敗。派閥を超えた連携で再起を図るため、岸田派内で発案されたのがこの議連だ。懐の広さを示そうと、党内7派閥と谷垣グループ、無派閥からそれぞれ発起人を募るなど「バランスに腐心した」(岸田派幹部)。

 また、党内の主導権をめぐって「3A」とのさや当てが続く二階俊博幹事長にも配慮。二階派の若手、小林鷹之衆院議員に進行役を任せて、「派閥横断」をアピールした。

 しかし岸田氏の思惑とはやや異なり、総会は二階氏に対抗する「3A」が幅を利かせる展開になった。

自民・岸田文雄前政調会長の最近の動き 拡大
自民・岸田文雄前政調会長の最近の動き

 まず麻生氏が冒頭、「真面目に政策を勉強する顔ばかりとはとても見えない。政局の顔がやたら見える」と冗談めかしてあいさつ。さらに甘利氏は「『3Aは(米大リーグより下の)マイナーリーグ』と言う人がいるが、(経済上の)格付けでは日本国債より上。3Aの格付けがついたのは極めて幸先がいい」と二階派をけん制した。

 岸田氏は安倍、麻生両氏に議連の最高顧問就任を依頼する考えだが、「軒を貸して母屋を取られかねない」と岸田派などから早くも危惧する声が漏れた。

 前回総裁選で岸田氏に投票したある議員は「これでは誰のための議連か分からない。麻生さんや甘利さんに利用されているのでは」と指摘。岸田派中堅も「どちらを向いているのか。一生懸命支援してくれた人たちをまず固めるべきだ」と話し、前回岸田氏を支援した谷垣グループ議員などの「離反」を心配した。

 菅首相の続投を後押しする古賀誠元幹事長との関係もほころびが目立つ。10日午前、かつて派閥を率いた故大平正芳元首相の墓参に古賀氏と岸田派議員9人が訪れたが、岸田氏は姿を見せなかった。岸田派幹部は「派閥を顧みずに『3A』に浮かれても、いいことはない。前回総裁選でも他の派閥からはしごを外され、次に支援してくれる保証はどこにもない」と岸田氏の足元のおぼつかなさを懸念する。【小田中大】

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