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なぜ実現しない? 空襲被害者救済法 二つの大きなハードルとは

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民間人空襲被害者らを救済する法案の成立を訴える河合節子さん。法廷闘争や立法運動の中で亡くなった5人の遺影を掲げた。自身は東京大空襲で母親と弟2人を亡くした=東京・永田町の衆院第2議員会館前で2021年6月10日、栗原俊雄撮影
民間人空襲被害者らを救済する法案の成立を訴える河合節子さん。法廷闘争や立法運動の中で亡くなった5人の遺影を掲げた。自身は東京大空襲で母親と弟2人を亡くした=東京・永田町の衆院第2議員会館前で2021年6月10日、栗原俊雄撮影

 第二次世界大戦の民間人空襲被害者らを救済する議員立法を目指す超党派の国会議員連盟(空襲議連)=河村建夫会長(自民)=が、今国会での法案提出見送りを決めた。国は元軍人・軍属らには補償や援護をする一方で民間人に対しては拒否してきた。被害者による度重なる訴訟では、裁判所は訴えを退けつつも、被害を認定し立法による解決を促している。立法が実現しない背景をさぐり、空襲被害者の思いを聞いた。【栗原俊雄】

「戦後補償問題は解決ずみ」の大義名分

 今年3月10日。河村会長は自民党本部で二階俊博幹事長に面会し、法案成立を訴えた。二階幹事長は「われわれの代でやらないといけない課題だ」などと答えた。野党は法案提出についてすべて同意している。当事者の期待は高まった。しかし、その後の自民党内の動きは鈍かった。

 大きなハードルは二つ。一つは「戦後補償問題は解決ずみ」という認識だ。同17日、自民党の下村博文政調会長は記者会見でこの問題に触れ、2005年の政府・与党の了解事項を挙げて「戦後処理問題に関する措置はすべて確定、終了したものとされている。この政府・与党の決定との整合性を重視するのが筋」などと話した。

 「了解事項」は同年8月、シベリア抑留者など戦争被害者に対する慰謝事業を行うに当たり交わされた。「以上の措置により、戦後処理問題に関する措置はすべて確定・終了したものとする」との文言で、与党の自民党と公明党の幹部、関係閣僚が名を連ねたものだ。

 だが、…

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