サイトの「黒衣」が起こした世界同時障害 ファストリー問題の教訓
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世界各地で8日、突然、メディアやインターネット通販のウェブサイトなどが一時的にアクセスできなくなった。原因は、米IT企業「Fastly(ファストリー)」が手がけるコンテンツ配信サービスの障害だった。インターネットのスムーズな利用を支えてきた「黒衣」のような仕組みだが、ひとたび障害が起きれば、ニュースや動画を見たり、ネット通販をしたりという普段の生活や、公的機関による情報発信がストップしてしまう。障害が長時間にわたれば、その影響は計り知れないものになるだろう。世界規模のリスクを回避するすべはないのだろうか。
ネットに不可欠な存在となったCDN
障害は日本時間8日午後7時ごろに発生した。金融庁や環境省のホームページ、日経新聞や読売新聞のニュースサイト、動画配信のAbema(アベマ)TV、フリーマーケットアプリ「メルカリ」やアマゾンのサイトなどにアクセスできなくなった。同様の事態は、国際オリンピック委員会(IOC)、米紙ニューヨーク・タイムズのサイトなどでも起こった。
こうした名だたる企業や組織のサイトは、これまであまり知られることのなかったファストリーによって支えられていた。「障害は広範囲で深刻だった。お客さまと利用者に影響を与え申し訳ない」。同社のニック・ロックウェル上級副社長はブログでこう陳謝した。
ファストリーによると、原因は同社が5月に導入したソフトウエアのバグ(誤り)。8日にシステムの設定変更を行ったことをきっかけに、同社のネットワークの85%でエラーが発生した。その後約1時間で大部分は回復し、バグは既に修正したというものの、ソフトウエアのテスト時にバグを見つけられなかった原因は分からず、同社が調査している。
これほど多くの企業が障害に巻き込まれたのは、なぜなのだろう。それは、…
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