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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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福島第1原発の処理水 トリチウム濃度測定の結果判明前に海洋放出

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汚染水を多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理した水。計測器で放射線量が高くないことが示された=福島県大熊町で2020年9月、小川昌宏撮影 拡大
汚染水を多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理した水。計測器で放射線量が高くないことが示された=福島県大熊町で2020年9月、小川昌宏撮影

 東京電力福島第1原発の、海水で薄めた海洋放出直前の処理水について、東電はトリチウムの濃度の測定結果が出る前に流す方針を明らかにした。測定結果が出るまでに半日から1日程度かかり、その間に海水で薄めた処理水を保管する場所がないためだという。

 原発の敷地内のタンクにたまっている汚染処理水には、64種類の放射性物質が含まれている。その水の7割は、トリチウム以外の濃度が国の放出基準を超えている。このため、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」などの装置を使って、濃度を基準未満に下げることになっている。

 それでも、トリチウムは技術的に取り除くのが難しい。このため、国の放出基準の40分の1に当たる1リットル当たり1500ベクレルを下回るよう、ポンプでくみ上げた海水が流れる中に処理水を混ぜ、100倍以上に薄める。海水を混ぜた水はそのまま海に流し、放出口で定期的に一定量を取り出して濃度を測定する。

 ところが、測定結果が出るまでには半日から1日程度かかる。それを待ってから放出しようとすると、その間に薄めた処理水をためる新たな保管場所を準備しなければならなくなる。

東京電力福島第1原発の敷地内に建ち並ぶタンク=福島県大熊町で2月、滝川大貴撮影 拡大
東京電力福島第1原発の敷地内に建ち並ぶタンク=福島県大熊町で2月、滝川大貴撮影

 東電は、海水で薄める前にもトリチウムなどの濃度を測定。その結果から、処理水に混ぜる海水の量を割り出し、くみ上げる量も管理するので、放出前には1500ベクレル未満になっており問題はないという姿勢だ。ただし、仮に放出前の測定で1500ベクレルを超える濃度になった場合は、測定結果が出るまでの間、そのままその水が流れ出すことになる。

 原子力規制委員会で福島第1原発の廃炉作業について議論する検討会の委員を務める蜂須賀(はちすか)礼子・福島県大熊町商工会長は「できれば濃度を確認してから流してほしい」、県の高坂潔(きよし)・原子力対策監は「東電の方針に一定の理解はできる。薄める海水の量を常に監視し、海水ポンプの不具合がないようにしてほしい」と話した。

 東電は約2年後の海洋放出に向け、近く放出する設備の設計や手続きをまとめた実施計画を規制委に申請し、審査を受ける。規制委の更田(ふけた)豊志委員長は「8月中旬には申請してほしい」と述べている。【岡田英】

【東日本大震災】

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