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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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10年ぶりの教室、黒板に名前書き最後の別れ 福島・大熊町大野小

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震災後初めて大野小の教室を訪れ、自分の席に座る市原怜奈さん=福島県大熊町で2021年6月11日午前11時48分、和田大典撮影
震災後初めて大野小の教室を訪れ、自分の席に座る市原怜奈さん=福島県大熊町で2021年6月11日午前11時48分、和田大典撮影

 東京電力福島第1原発が立地する福島県大熊町の町立大野小学校で11日、事故当時の在校生や保護者が校舎に入り、教室に残った学用品を持ち出した。立ち入り許可は2018年以来2回目。帰還困難区域にある校舎は改修され、来春にベンチャー企業などの拠点になるため、学用品は今回を最後に撤去される。かつての児童らは、時間が止まったままの教室で思いを巡らせていた。

 大野小は第1原発から約5・5キロの帰還困難区域に位置しているが、集中的に除染して人が住めるようにする特定復興再生拠点区域内に含まれ、来春に避難指示が解かれる。東日本大震災が起きた時は児童約420人の大半が下校中で、教室にあった文房具などは散乱したままになっていた。

 当時6年生だった大学生の市原怜奈さん(22)=東京都=は、10年ぶりに母校を訪れた。「あっ、私が描いた絵だ」。市原さんは教室後方の黒板に描かれた笑顔の男女のイラストを見つけた。脇には「卒業 Last7days(卒業まであと7日)」の文字。一緒に卒業し、同じ中学校に行くはずだったクラスメートとも、ばらばらになった。

 町は学校の雰囲気を残す形で改修する方針という。市原さんは作文や習字の作品などを袋に詰めながら、「寂しい。ここにすてきな大野小があったことを知ってほしい」とつぶやいた。最後に名前と日付を黒板に書き残し、なつかしい教室を後にした。【尾崎修二】

【東日本大震災】

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