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東芝の一部株主に対し、経済産業省が圧力をかけていた疑いが出てきた。外部の弁護士による調査で指摘された。
昨年の株主総会前に、議案の提出や、議決権の行使を控えるよう働きかけたという。
事実なら、企業統治をゆがめる行為だ。経産省と東芝は事実関係を確認し、投資家が納得できる説明をしなければならない。
調査は、筆頭株主である投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」の要請に基づいて行われた。
「もの言う株主」として知られるエフィッシモは、車谷暢昭社長(当時)の再任に反対し、4人の社外取締役を選任する議案の提出を準備していた。
問題視されたのは、東芝や経産省の対応だ。
東芝から相談を受けた経産省の課長は、外為法に基づく権限の発動をちらつかせてエフィッシモに翻意を促そうとしたとされる。
当時の東芝幹部が交わしたメールには「METI(経産省)にたたいてもらう」「主役は経産省」といった文言があったという。
外為法は、安全保障などに関わる日本企業への海外投資家の出資を規制している。東芝は原子力や防衛といった事業を手がける。政府が投資家の動きを把握することも必要だろう。
しかし今回は、経産省が株主総会対策として、経営陣の意向に反する提案の排除に動いた可能性がある。外為法がその口実に使われたのであれば、行政への信頼は損なわれる。
そもそも東芝と投資家の関係が悪化した背景には、子会社の不祥事や業績低迷がある。再発防止策や成長の道筋を示し、納得を得るのが本来の姿だ。
報告書は、官房長官だった菅義偉首相に東芝幹部が接触し、経緯を説明した疑いも指摘している。政治の影響力に頼って株主を抑え込もうと考えたとすれば、上場会社として許されない。
東芝は、経産省が進めるエネルギー政策や産業政策の一翼を担ってきた。こうした関係が、官民のもたれ合いにつながっていたのではないか。投資家や国民の懸念を払拭(ふっしょく)するためにも、しっかりとした検証が不可欠だ。
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