嵐で終わると思っていた「楽しさ」 櫻井翔さん、20年を込め熱演

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入江悠総監督(左)と主演の桜井翔=日本テレビ提供
入江悠総監督(左)と主演の桜井翔=日本テレビ提供

 ポンコツ探偵の風真尚希(櫻井翔)が天才助手の美神アンナ(広瀬すず)と難事件を解決する日本テレビ系ドラマ「ネメシス」(日曜午後10時半)は、13日に最終回を迎える。前半はポップなコメディー要素が目立ったが、後半はアンナの出生の秘密が明かされるなどシリアスな場面が増え、クライマックスへ期待が高まっている。撮影を終えた入江悠総監督と、広瀬とダブル主演を務めた櫻井がインタビューに応じ、演出や演技に込めた思いなどを語った。

 ――撮影が終わった感想は。

 櫻井 楽しかったにつきます。表現するって楽しいんだな、考えるプロセスがこんなに面白いんだと。誤解を恐れずに言えば、それは(人気グループ「嵐」が活動休止した)昨年末で一旦終わっちゃうと思っていた。改めて感じさせてもらい、導火線を作ってもらった気がしている。映画と同じようにワンカメラ(複数ではなく1台のカメラ)で撮ったので、動きの自由度も高かった。

 入江 監督の仕事は、俳優さんがやってくれたものを見て、よりこうしたらよくなるんじゃないかと演出すること。監督から「こうやってくれ」と言うものではないと思っている。櫻井さんがすごいなと思ったのは「次のシーン、僕の中で二つあります。どっちがいいですか?」と選択肢を与えてくれるところ。初めてですね、そう言われたのは。それによって、自分が想定していたものよりキャラクターが大きく飛躍した。

 ――入江総監督の印象は。

 櫻井 いつ何を聞いても明確な答えを持っていると同時に、現場で生まれるものも面白がって柔軟に対応してくれる。感動したのは、あるスタッフが「これはエキストラですか? 役者ですか?」と質問した時、総監督が珍しく大声で「エキストラはいません、全員役者です」と言ったこと。総監督のすごさは、映っているもの全てが撮るべきものと捉え、そこに一切うそや妥協がないところ。

 ――後半になって、アンナの出生に関わる「20年前」というキーワードが出てくるが。

 入江 互いの20年の話をぽつりぽつりとしました。全然違う道を歩んでいるけど、20年間の重みって人それぞれある。ドラマの中で、風真は一番難しい役。前半のポンコツ感と、後半の彼なりに目指すものがあったというところに着地させるのは、すごい難しいと思うが、そういう会話ができたことはすごく大きかった。

 櫻井 嵐の活動を約20年やってきた。風真がイルカの調教やマジックなどいろいろな仕事を経験して歩んだ20年間と、バラエティーでスカイダイビングしたり、コンサートでキラキラの衣装を着させてもらったりした自分の20年間が近からず遠からずというか。実感として20年を細部に落とし込めたのは、今じゃなきゃできなかった。

 ――入江総監督は脚本も手掛けているが、ネメシスの構想の経緯は。

 入江 探偵ものをやるのが夢だった。天才探偵はいっぱいいるけど、天才たるゆえんを掘り下げられないかという話になり、自分がサイエンスフィクションが好きで、最近技術が進んでいるゲノム編集で人為的に作られたという話に膨らんでいった。

 ――最終回の見どころは。

 入江 終盤、ネメシスの3人が集まるシーンにメッセージを込めた。こういう時代だから、生きるのがつらい人もいる。「生きてていいし、大丈夫だよ」と言ってくれる人がいるありがたみが、3人の姿を通して伝われば。

 櫻井 そのシーンでは、総監督がカットをかけなかったので、このあと風真だったらこう動くかなと考えて芝居を続けた。総監督がそれを面白いと言ってくれて、結果としてカットを増やす形になった。

 入江 あのシーンが撮れた時、見えたものがあった。アンナは自分の存在意義に悩むが、愛してくれる人がいる。そこに希望を持ってくれたらいい。

 ――入江総監督は映画を中心に活動し、今作も映画スタッフと制作。ドラマをやって感じたことは。

「ネメシス」最終回の一場面。天才助手の美神アンナ(広瀬すず・右)と探偵事務所社長の栗田一秋(江口洋介)=日本テレビ提供 拡大
「ネメシス」最終回の一場面。天才助手の美神アンナ(広瀬すず・右)と探偵事務所社長の栗田一秋(江口洋介)=日本テレビ提供

 入江 毎回シチュエーションも事件も変わるので、10本の短編映画を作っている感じだった。それぞれの俳優が役のキャラクターを育てていってくれるので、後半になるとそれが作品中に満ちていく。連続ドラマの面白さを感じた。

 ――テレビ離れが進むなか、テレビの可能性について感じたことは。

 入江 テレビドラマは、原作のないオリジナル脚本が多い。映画でもテレビでも配信でも、ストーリーを作るというのは物作りの根幹なので、そこはすごい可能性があると思う。

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