コロナと世間、規範にあらがう男女 金原ひとみさんが短編集『アンソーシャル ディスタンス』

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金原ひとみさん=梅村直承撮影
金原ひとみさん=梅村直承撮影

 <文化の森 Bunka no mori>

 「いろいろな虚飾がぱらぱらと崩れ落ちていった」。作家の金原ひとみさんは、この1年の社会や人々の変化をそう表現する。「私の友人にも家族との別居など、大きな決断をした人がいます。余裕のある時は自分にも周りにもうそをつけますが、むき出しの状態の自分や他者と向き合い、価値観が揺らいだ人は少なくないのではないでしょうか」

 5月に刊行した短編集『アンソーシャル ディスタンス』(新潮社)には、そんなコロナ禍を描いた短編2本が収録されている。表題作の主人公は大学生の男女。就職を控え、母親らが押しつけてくる「正しさ」に押しつぶされそうな幸希(こうき)と、思春期からリストカットを繰り返してきた沙南(さな)は、外出自粛やソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保という社会規範にあらがうように逢瀬(おうせ)を重ねる。

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