特集

第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月9日~25日)の特集サイトです。

特集一覧

プロ野球・密着中

西武・岸潤一郎/1 「甲子園の申し子」が解き放った自らへの呪縛

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
ヤクルト戦で一塁へ走る岸潤一郎=神宮球場で2021年6月5日、大西岳彦撮影
ヤクルト戦で一塁へ走る岸潤一郎=神宮球場で2021年6月5日、大西岳彦撮影

 イチローも前田健太も村上宗隆も、かつては2軍で汗を流した。毎年100人以上の選手が戦力外となるプロ野球。激しい競争を勝ち抜き、1軍での活躍を目指す若手が今、何に取り組み、何を考えているか。球団担当記者が1人の選手を追いかける「プロ野球・密着中」。高校時代に「甲子園の申し子」と呼ばれた西武・岸潤一郎外野手(24)は大きな転換期を迎えている。

 人生に何度か訪れる好機。それに気づけるか。気づけたとしてモノにできるのか。そのまっただ中にいる。

 5月27日。西武は1軍で主力の源田壮亮内野手(28)が新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。球団は自主判断で濃厚接触の疑いのある7選手をチームから隔離。同日の広島戦は控え野手が2人だけという非常事態だった。

 岸はその時、2軍の遠征地である仙台のホテルにいた。「とりあえず今から全員帰ります」と、球団スタッフから知らせを受けてとんぼ返り。翌28日には出場選手登録の入れ替えを柔軟に行える「感染拡大防止特例2021」の代替選手として1軍登録された。プロ2年目を開幕1軍で迎えた岸にとって、4月17日に登録抹消されて以来の1軍だった。

 チームにとっては緊急事態だが、岸にとっては思いがけないチャンス。「もし出られたらワンプレーでも貢献しよう」と誓った。最初は評価の高い守備で出場。さらにルーキーで外野のレギュラーだった若林楽人(23)が膝のけがで長期離脱となり、さまざまな偶然が重なって、その瞬間が訪れた。

 6月1日の巨人戦(東京ドーム)。岸は「7番中堅」で先発出場した。先頭で迎えた七回の第3打席。巨人の4番手・鍵谷陽平の高めのスライダーを強振した。打球は左中間席中段まで届き、プロ初安打が初本塁打となった。「とにかくホッとした」。喜びの笑みというより、つきものが落ちたかのような表情をした。それもそのはず。わずか数週間前まで、どん底にいたからだった。

 5月26日にカレンダーを戻す。2軍の試合前、リモート取材に応じた岸の表情は曇っていた。「勝手に自分でプレッシャーをかけちゃって……。呪縛に締め付けられるじゃないですけ…

この記事は有料記事です。

残り1687文字(全文2566文字)

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集