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東京五輪直前のLGBT法案棚上げが日本にもたらすリスク

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東京都内でインタビューにこたえるキャンベルさん=2021年6月5日午前11時50分、和田浩明撮影
東京都内でインタビューにこたえるキャンベルさん=2021年6月5日午前11時50分、和田浩明撮影

 またしても、である。「LGBTは種の保存を考えたら望ましくない」。5月、「LGBT理解増進法案」の自民党本部での審査で参加議員から飛び出した言葉だ。LGBTなど性的少数者や支援者らは「差別だ」と強く批判するが、自民党は法案自体を棚上げする構えだ。「生産性がない」「法律で保護したら区が滅びる」。性的少数者に対する政治家の差別的発言は過去にもあった。こうした発言が繰り返され、法的整備が進まない状態は、どうしたら変わるのか。LGBTなどの権利について啓発を促す「プライド月間」の6月、同性愛者であることを公表している日本文学研究者、ロバート・キャンベル早稲田大学特命教授(63)を訪ね、話を聞いた。【和田浩明/デジタル報道センター】

法案提出見送り「チャンスをドブに」

 ――LGBTへの政治家の理解が、相変わらず進みません。

 ◆7月に東京で開催が予定されているオリンピックの憲章は、性的指向などを理由とする「いかなる種類の差別」にも反対しています。しかし、日本はLGBTに関する法律の整備状況は経済協力開発機構(OECD)中の35カ国で下から2番目の34位です。主要7カ国(G7)では、性的指向による差別を禁止する法律が整備されていないのは日本だけです。海外から向けられるまなざしには、かなり冷たいものがあります。日本は、かなりの「バッドルック(悪い見た目)」になっている。

 一方で、今年の3月には札幌地裁が同性同士の結婚を認めない現行制度を「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反していると認定しました。同性婚をめぐる訴訟では初の違憲判断で、評価できます。LGBT理解増進法案についても、内容は不当な扱いから性的少数者を守るには十歩も百歩も足りないですが、ないよりはあったほうがよい。

 それなのに、条文案に野党の要求で追加された「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言などに、自民党内で反対する意見が出て議論が紛糾し、自民党は審議日程を理由に提出を見送るようです。「いかなる種類の差別」にも反対する五輪開催の直前なのに。

 この法案については、今秋までに実施される衆院選をにらんだ政治的な思惑が絡んでいるところはあるのでしょう。自民党側では稲田朋美衆院議員が野党側と協議しつつ、「伝統的家族観」が強い自民党内で全派閥に受け入れられるよう取り組んできた努力は多としたいと思います。しかし、結果的には、政党として、政治機構としては、非常に残念でもったいない選択をしたと思います。

 広い視点で見れば日本の国益にとってプラスになる機会を、またしてもドブに捨てる選択を政治家たち自らがしているようにも思うのです。

経済界や海外から「政治的変化」求める声

 ――どういうことですか。

 ◆法案については、楽天…

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