G7、対「専制主義」で結束 中国巡り日米と欧州に温度差

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G7サミットで3日目の討議に臨む菅首相(右端)ら各国首脳=英コーンウォールで13日、ロイター
G7サミットで3日目の討議に臨む菅首相(右端)ら各国首脳=英コーンウォールで13日、ロイター

 主要7カ国(G7)が首脳会議(サミット)で採択した首脳宣言は、中国の人権問題や覇権主義的な行動を強くけん制する内容となった。バイデン米政権が主導し、民主主義国の結束により中露など「専制主義」に対抗する姿勢を打ち出した。

胸を張ったバイデン氏

 「我々は急速に変化する21世紀に、中国だけでなく世界中の専制主義に民主主義が対抗できるのかという争いの中にいる」

 バイデン大統領が閉幕後の記者会見で強調したのが、米国が国際社会の主導役として復帰した姿と民主主義諸国の結束の重要性だ。

 米国が途上国向けの5億回分のワクチンの寄付を先行発表し、G7として計10億回分の提供を打ち出すなどサミットは米国主導で進んだ。首脳宣言には、米側が求めた、中国による香港や新疆ウイグル自治区の人権問題なども盛り込まれ、「台湾海峡の平和と安定の重要性」も初めて明記した。バイデン氏は「前回のG7サミットで言及のなかった中国について盛り込まれた」と胸を張った。

 外交筋によると、宣言で中国を名指しで批判することには、欧州側に慎重論があり、取りまとめは難航したという。そのため、バイデン氏は菅義偉首相に協力を求めた。「ともに議論をリードしよう」。サミット2日目の12日、討議の合間に語りかけたという。

 首相も討議で、中国による東シナ海や南シナ海への海洋進出や人権問題を挙げ「G7の価値観と相いれない」と強調。別の討議でも米側が進める新型コロナウイルスの起源に関する追加調査に賛同する意向を示した。日本政府は経済状況の悪化を懸念し中国との関係維持に腐心するが、首相はバイデン氏と歩調を合わせ、G7の結束を呼びかけた。

 バイデン氏が中国に対抗する姿勢を示す背景には、「民主主義の優位性が揺らいでいる」との強い危機感がある。

 特に新型コロナの感染拡大に対しては、中国は強力な行動規制などを導入し封じ込めに成功した。G7各国がワクチンの安全性の確認などに時間をかける中、途上国への国産ワクチンを提供する「ワクチン外交」を展開。中国外務省の汪文斌副報道局長は10日の定例記者会見で「中国はすでにワクチンを途上国80カ国以上に提供、40カ国以上に輸出するなど、全世界で3億5000万回分を供給してきた」と強調した。

 新型コロナの抑え込みなどでは、中国のような専制的な政治体制の方が優れているのではないか、との見方も広がりつつある。G7が10億回分の提供を表明した背景には、先行する中国の「ワクチン外交」に対する焦りもある。

 バイデン氏は経済分野でも中国との対立姿勢を鮮明にした。サミットで中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗し、途上国などへのインフラ支援を行うことがまとまったことについて、「我々には民主的な代替策があると提案し、同意を得た…

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