OB・江上剛さんが語る、みずほ迷走「国民銀行」の原点に帰れ

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障害が発生して利用できなくなったみずほ銀行のATM=東京都千代田区で2021年2月28日午後6時半、佐々木順一撮影
障害が発生して利用できなくなったみずほ銀行のATM=東京都千代田区で2021年2月28日午後6時半、佐々木順一撮影

 「顧客に迷惑を掛けないという意識が薄れていたのかなあ」。みずほ銀行で2月末に生じたATM(現金自動受払機)のシステム障害。みずほ銀行出身の作家、江上剛さん(67)に感想を尋ねると、ぽつりとつぶやいた。銀行を離れて久しい江上さんだが、古巣の迷走ぶりにはもどかしさを抱えているという。みずほ銀行のルーツに関わる「渋沢栄一」も引き合いに、OB作家が激励をこめて語るみずほの「真の国民銀行」への道とは――。【聞き手・竹地広憲/経済部】

 改めて紹介しておこう。江上さんは第一勧業銀行(現みずほ銀行)で人事や企画部門などを歩み、1997年に起きた総会屋への利益供与事件の際は広報部次長として対応に当たった。その後、社内改革に尽力。現西武ホールディングス社長の後藤高志さんらとともに、「改革4人組」と言われた。東京・築地支店長を最後に作家に転身。テレビドラマ化された「庶務行員 多加賀主水(たかがもんど)シリーズ」など、働く現代人の哀歓を描いた作品を世に送り出している。

風通しの悪さ、残っているのか

 ――今回のトラブルでは、利用者のキャッシュカードがATMに取り込まれて、多くの人が長時間待たされる被害に遭いました。どんな印象を持ちましたか?

 ◆ATMを稼働させている以上、日曜日であっても問題が起きたら職員がすぐに駆け付ける体制を整えていなければいけません。何よりも、それが一番の問題です。

 かつては、銀行員は何か不安があれば現場に駆け付けるものでした。95年の阪神大震災では、第一勧銀でも支店が被災し、潰れたところもありました。それでも関西の役員や職員は、顧客が現金を必要とするだろうと考え、がれきの中でも歩いて支店に出向いた。そうした対応もあったから、顧客から不満の声が聞かれることはなく、迷惑を掛けずに済んだんです。銀行は、少なくとも顧客には迷惑を掛けてはいけない。今回のトラブルを見ると、そういう意識が薄れていたのかなあ、と思わざるを得ません。

 みずほが最初の大規模システム障害に見舞われたのは2002年4月1日。第一勧業、富士、日本興業の大手3銀行が統合してみずほ銀行が発足した時のことだった。このとき、旧行のシステムを維持したままつなぐ方式だったが、準備不足や方式の複雑さがたたり、障害が発生。公共料金の口座振替の遅延などが250万件に上り、収束に数カ月かかった。みずほは11年3月の東日本大震災直後にも、給与振り込みなど最大116万件の決済が遅れる大規模障害を起こしている。

 ――みずほでシステム障害が繰り返される背景には、何があるのでしょうか。

 ◆メガバンクは最近、…

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