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日本芸術院に新ジャンル 多様な文化支える改革を

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 顕著な功績のある芸術家で構成される日本芸術院の顕彰分野が広がる。映画や写真、マンガ、アニメーションなども対象となる。

 文化庁の有識者会議が改革提言をまとめた。新しい分野が加わるのは1946年以来だ。

 芸術院は、明治時代に設立された美術審査委員会を前身とする国の機関だ。定員120人の終身会員から成る。非常勤の国家公務員として250万円の年金が毎年支給されている。

 社会的な認知度が低いとして、あり方を巡っては国会でもたびたび議論になってきた。

 分野が長い間見直されず、組織の硬直化が目立っていた。

 現行は「美術」「文芸」「音楽・演劇・舞踊」の3部の下に、書や歌舞伎など16の分科がある。だが、映画やマンガ、デザインは対象ではない。

 文化芸術活動の多様化、グローバル化を反映していないとの声が出ていた。

 今回の改革提言では、マンガと、アニメーションを含む映画が、新たに分科となる。マンガは大英博物館で大規模な展覧会が開かれ、アニメーションも国際的な賞を受けている。

 これまで映画の分科がなかったため、文化勲章を受けた映画監督の山田洋次さんは演劇枠で会員となっている。独立した分科ができることで、映画分野での顕彰の機会も増えるだろう。

 若者らに支持されるサブカルチャーも対象に加われば、国民が文化芸術をより身近に感じることにもつながるはずだ。

 有識者会議は会員の選考方法の見直しも提言した。これまでは欠員が出た場合、当該部の会員が候補者を推薦し、部会の投票で選んでいた。改革後は、選考プロセスに外部の有識者も加わる。

 芸術院は、芸術の発達に寄与する活動を行い、文部科学相や文化庁長官に意見を述べる役割がある。しかし、これまでは十分に機能してこなかった。

 コロナ禍で、文化芸術は苦境にある。美術館や映画館は来場者の減少に悩み、演劇や音楽の公演も縮小を余儀なくされている。

 改革を機に組織の存在意義を再確認し、幅広く文化を支えていく使命を果たすべきだ。

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