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移民問題から読み解く日本社会 気鋭の社会学者に聞く影響の複雑さ

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「入管法改悪阻止」を訴えた市民ら=東京都千代田区で2021年4月21日午後3時、井田純撮影
「入管法改悪阻止」を訴えた市民ら=東京都千代田区で2021年4月21日午後3時、井田純撮影

 「移民問題」は単に移民の問題ではなく、社会の問題でもある――。2020年に刊行された「移民と日本社会」(中公新書)は、豊富な実証的データを示しながら移民と社会の関係を多面的に読み解き、移民にまつわるさまざまな印象を覆す。「移民の受け入れが社会に与える影響は複雑で、いくつもの要因がある。移民や受け入れ制度に問題を焦点化することで、背景にある社会自体の問題が隠されてきました」と著者の永吉希久子・東京大准教授は指摘する。

 永吉さんも参加した研究グループによる17年の意識調査では、「日本に住む外国人が増えるとどのような影響があると思うか」という問いの2項目「犯罪発生率が高くなる」「治安・秩序が乱れる」について、同意を示した人がいずれも6割を超え、ネガティブな影響への懸念が示された。実際、17年の移民の犯罪率は、日本の総人口における一般刑法検挙人員数割合が0・2%だったのに対し、0・4%程度とされる。だが、これを基に…

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