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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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妻「悪い知らせと良い知らせがあるんだけど」…

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 妻「悪い知らせと良い知らせがあるんだけど」。夫「何だい、言ってみろよ」。妻「私、あなたと離婚するわ」。夫「で、悪い知らせは?」――ブラックジョークの定番で、悪い知らせが先か良い知らせが先かだ▲悪い知らせこそ先に聞く――「バッドニュース・ファースト」は、企業や行政のトップの組織管理の要諦(ようてい)とされる。部下からの悪い知らせがトップの耳に入らない組織は危機への対応に失敗し、時代に適応できなくなってしまうのだ▲日本を代表するメガバンクの経営者なら、そんな話は常識に違いない。だが顧客のキャッシュカードが現金自動受払機(ATM)にのみ込まれる大規模システム障害をトップが知ったのは、発生3時間半後のネットニュースでだった▲今年2月から4度にわたって発生したみずほ銀行のシステム障害である。第三者委調査によれば、カードが取り込まれるATM障害は3年前にもあったが、公表されずに改善策はとられなかった。悪いニュースは無視されたのである▲悪い知らせを告げると上司に疎まれるので誰も声を上げない。組織を脅かす不吉な情報は過小評価される。結果、対策は立てられることなく、破局の時が訪れる。何度も聞いた組織の失敗が、今日のメガバンクでもくり返されたのか▲とくに第三者委はカードを取られた客の迷惑に鈍感な「顧客目線の弱さ」を指弾した。「バッドニュース」こそトップから現場までが素早く共有して、対処せねばならない。また一つ増えた「他山の石」だ。

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