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向き合わぬ日韓首脳 事態打開の意思が見えぬ

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 日韓関係の悪化を放置することは互いの利益に反する。両国の指導者は改めて認識すべきだ。

 菅義偉首相と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が英国での主要7カ国首脳会議(G7サミット)で顔を合わせたものの、あいさつを交わすだけに終わった。昨年9月に就任した首相は、まだ文氏と会談していない。

 両国関係は、1965年の国交正常化以降で最悪の状態にある。

 首相は同行記者団に、元慰安婦と元徴用工の訴訟をめぐる韓国側の具体的対応が会談の前提との考えを示した。

 一方の文氏はフェイスブックに「菅氏と会談できなくて残念だった」と投稿した。文氏は最近、関係改善への意欲をアピールしている。ただし、懸案解決へ真剣に取り組む様子は見えない。

 関係悪化の原因は、国交正常化の際に結ばれた請求権協定の効力を実質的に否定する韓国の司法判断だ。日本側は「国と国との約束に反する」と問題視している。

 本来なら、外交関係に影響を及ぼさないための措置を韓国政府が取らねばならない局面だ。文氏は「三権分立」を強調するが、それは国内での権力独走を防ぐ仕組みだ。国際法をないがしろにしていい理由にはならない。

 それでも首脳会談すらできない状況を放置し続けるわけにはいかない。

 日韓共通の同盟国である米国との関係にも影響する。G7サミットでは日米韓首脳会談も模索されたが、実現しなかった。対北朝鮮政策の基本である3カ国連携に支障が出かねない。

 米国は、中国に依存しない戦略物資のサプライチェーン(供給網)を構築しようとしている。半導体や蓄電池で世界有数の企業を擁する韓国は重要なパートナーである。日本も中国を意識した外交を展開するのなら、韓国との協力は欠かせないはずだ。

 韓国の朴槿恵(パククネ)前大統領が慰安婦問題を理由に日本との首脳会談に応じなかった時、日本政府は「問題があるからこそ対話が必要だ」と説いた。首相は、この姿勢を思い出すべきではないか。

 責任を互いに押しつけ合うばかりでは、展望は開けない。両首脳は正面から向き合い、事態打開へ動くべきだ。

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