データ解析、薬の効果最大に 患者に合わせて最適な医療提供
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薬の効果は最大限に、副作用は最小限にしたいものだ。しかし、大勢が対象の臨床研究などで得られたデータを基にするため、個人個人へのきめ細かな対応は難しい。そこで、患者それぞれに合わせた、薬の最適な量とタイミングを知るためのシステムの開発が進む。
薬の効果と安全性は、動物実験などを経て、患者を対象にした臨床研究で確かめられる。多くは、複数の患者を無作為に2グループに分け、一方に既存薬を、もう一方には新薬の候補物質を投与し、新薬候補の効果が既存薬を上回れば新しい治療薬として認められる。グループ分けが無作為なため、偶然や、薬以外の要因による偏りを取り除くことができる。
しかし、こうして開発された薬の投与の量や間隔は、グループの平均的な値として決められる。ある程度の幅を持たせている場合もあるとはいえ、全ての人で等しく効果を発揮し、副作用も少ないとは限らない。例えば新型コロナウイルスのワクチンでは、副反応が出ない人がいる一方で、数日間の発熱や倦怠(けんたい)感を訴える人もいる。治療薬として、ワクチンの何倍もの量の薬が毎日使われれば、個人差はより大きくなってしまう。
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