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尾身氏提言にちらつく政治の影 五輪開催前提「現実路線」の事情

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記者会見する新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(右)と菅義偉首相=首相官邸で2021年6月17日午後7時53分、竹内幹撮影
記者会見する新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(右)と菅義偉首相=首相官邸で2021年6月17日午後7時53分、竹内幹撮影

 東京オリンピック・パラリンピック開催について、政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の尾身茂会長ら専門家有志26人が18日に政府へ提出した提言は、五輪開催の是非や妥当性に関する文言を封印する一方、開催を前提にした「現実路線」にかじを切ったものだ。ただ、期間中の「リバウンド(感染再拡大)」を警告し、感染拡大の予兆があれば「強い対策」をためらわずに発動することを求めるなど、有観客での開催を模索する政府側をけん制している。

提言「五輪開催の是非」最終段階でそぎ落とし

 「当初の(提言)文書では、『五輪開催の有無も含めて検討してほしい』との文章があった。しかし菅義偉首相が主要7カ国首脳会議(G7サミット)という国際的な場で開催を表明し、(専門家で)開催の是非を検討することは実際的にほとんど意味がなくなった」。尾身氏は18日夜の記者会見で、当初の提言では「開催の妥当性」を含めるか検討したものの、最終段階でそぎ落としたことを明らかにした。

 提言は五輪を開催する際に生じる感染リスクと医療体制への負荷がどの程度かを評価し、「無観客開催が最もリスクが少ない」と結論づけている。一方、尾身氏が国会で「パンデミック(世界的大流行)で(五輪を)やるのは普通はない」と発言するなど、専門家が提言で「五輪の開催の是非」に触れるかどうかが焦点になっていた。

 提言をまとめたのは厚生労働省に感染対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」や分科会のメンバー。4月ごろから自主的な勉強会を開いて議論を重ねてきたが、当初から一部の参加者は「開催こそが最大のリスク。感染力が強い変異株がまん延する恐れがある中で開催すべきではない」と主張。作成過程では「リスクを踏まえて開催するかどうか検討すべきだ」といった文言を盛り込む検討を進めていた。

 しかし、尾身氏と政権側の窓口となった西村康稔経済再生担当相の交渉プロセスで提言の中身は変容していった。「五輪の中止が、…

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