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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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元々、外交・安保用語だったタカ派、ハト派という表現は…

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 元々、外交・安保用語だったタカ派、ハト派という表現は金融政策にも使われる。金融引き締めに積極的なタカ派と、緩和志向のハト派だ。英メディアは新型コロナウイルス対策でも同じ色分けをしている。経済重視のタカ派、感染防止を優先するハト派という図式だ▲特に人の流れを止めるロックダウン(都市封鎖)をめぐっては早期解除を求めるタカ派と、解除に慎重なハト派の対立が続いてきた。そのはざまに立ったジョンソン英首相は21日から予定していた解除の4週間延期を決めた▲ワクチン接種が進み、感染者数もいったん急減した。しかし、感染力が強い「デルタ株」の流行で再び、感染が拡大し始めた。解除に未練を残していたジョンソン氏も科学顧問らハト派に軍配を上げざるを得なかった▲日本はどうか。タカ派、ハト派以上に菅義偉(すが・よしひで)首相ら「五輪派」が決定権を握っているのが実態ではないか。緊急事態宣言を解除するものの、まん延防止措置に切り替えられ、飲食店の時短や酒類の提供制限は続く▲東京オリンピック開会まで1カ月余り。緊急事態を終わらせ、国際社会に向けて体裁を繕うことを優先したようにしか見えない。大型イベントの人数制限を上限5000人から1万人に緩和するのも経済への配慮というより、五輪に観客を入れる布石だろう▲どの国にも意見の違いは存在する。科学的な知見を踏まえ、バランスの取れた采配を振るのが政治の役割である。今の政府の対応は五輪に引きずられ過ぎている。

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