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入管・難民問題

国外退去処分になった外国人の入国管理施設での扱いが注目を集めています。難⺠に厳しいと言われる日本。人権は守られている︖

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「帰れ」言われても「東京クルド」監督が見た日本でもがく若者たち

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川辺で自分たちの将来について語り合うラマザンさん(左)とオザンさん=映画「東京クルド」から、配給会社「東風」提供
川辺で自分たちの将来について語り合うラマザンさん(左)とオザンさん=映画「東京クルド」から、配給会社「東風」提供

 「帰ればいいんだよ」。難民に認定してほしいと申請しているクルド人の青年に、入管職員が鋭くとがった言葉を突きつける。近く公開されるドキュメンタリー映画「東京クルド」の一場面だ。この青年のようなクルド人の若者たちは、人生の大半を日本で過ごし、教育を受け、なめらかに日本語を話す。帰れる場所、生きたい国は、日本なのだ。だが、難民の認定率が1%を切る「難民鎖国・日本」に安心できる居場所はない。6月20日は「世界難民の日」。日向史有監督(40)に、作品の背景を聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

「自分の居場所でない」地で生きる葛藤

 日向さんはシリアなどから日本に逃れ、難民認定を申請した人たちの生活を記録し、発表してきた。関心の根源には、マイノリティーのアジア人として小学生時代を過ごした英国での体験があった。「自分の居場所ではない」地で生きる葛藤の記憶だ。

 2004年ごろには訪れたスペイン・バスク地方で独立を要求する人たちに出会う。彼ら、彼女らの「民族的、言語的アイデンティティーに誇りを持ち、自分が何者かを考え、打ち出す姿勢」に憧れた。

 本格的に難民に興味を持つようになったのは、2015年。シリア内戦から逃れた人々などが欧州に活路を求める様子が報道されていた。小さなボートにぎゅうぎゅう詰めになって海を越え、長い列を作って「安全」に向け歩く人たちの姿。「同じような境遇の人たちが日本で暮らしているようだが、どんな思いなのか知りたい」。そう考えて難民支援団体などに連絡し、内戦から逃れてきたクルド人たちともつながっていった。

「イスラム国と戦いたい」に衝撃

 「国を持たない最大の民族」と言われるクルド人。推定約2000万~3000万人がトルコやシリア、イラク、イランなどにまたがって居住する。

 日本では、その多くが埼玉県南東部の川口市や蕨(わらび)市に住む。日向さんは5年前から彼らの元に足しげく通った。そこで出会った若者たちの中には、シリアやイラクで独自の「国家」建設を図った過激派組織「イスラム国」(IS)と戦う現地のクルド人勢力への参加に意欲を示す人もいた。日向さんは「ショックでした。平和な日本でなぜ、と」と振り返る。

 取材を進める中で、彼らが…

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