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山県亮太と桐生祥秀、「良きライバル」の物語

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陸上の織田記念国際男子100メートルで並走する山県亮太(右)と桐生祥秀=エディオンスタジアム広島で2021年4月29日、猪飼健史撮影
陸上の織田記念国際男子100メートルで並走する山県亮太(右)と桐生祥秀=エディオンスタジアム広島で2021年4月29日、猪飼健史撮影

 「10秒の壁」と戦ってきた2人は、特別な関係にある。陸上男子100メートルで日本新記録を出した山県亮太(29)=セイコー=と、4年前に日本選手で初めて9秒台をマークした桐生祥秀(25)=日本生命。東京オリンピック代表を懸け、24日開幕の日本選手権(大阪)での対決が注目される。9秒台への期待や重圧と向き合ってきた2人はなぜ、誰もが認める「良きライバル」であり続けたのか。

 6月6日、桐生は自身のツイッターに投稿した。「山縣さんおめでとうございます!!」。絵文字が10個もついたメッセージに、最大限の祝福を届けたいという気持ちがあふれていた。自らはアキレスけんに不安があって欠場した布勢スプリント(鳥取)決勝で、山県は自身初の「9秒台」となる9秒95の日本新記録で優勝した。

 2人が発する言葉やオーラは対照的だ。桐生は取材に対して直感的に早口で答え、「ガーッと」などと擬音で感覚的に表現することもある。走りにも天性の感覚があり、「核心」をつくコメントも多い。内に秘めたハートは熱く、2016年リオデジャネイロ五輪代表選考会で3位になった際は、人目もはばからずに泣きじゃくった。

 山県は21年1月まで技術コーチをつけなかったように、独力で論理的に突き詰める「走る哲学者」。記者の前でも悩みを隠さず、弱音を吐くこともある。それでも大舞台に強く、12年ロンドン、リオと2大会連続で日本選手の100メートル五輪最速記録を出すなど度胸、集中力は折り紙付きだ。走りの技術に関しては「(桐生は)僕とは全く逆」と語る。

運命だった「伝説のレース」

 2人の関係を運命づけた「伝説のレース」がある。国…

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