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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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東京オリンピックに向け…

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 東京オリンピックに向け、前橋市で1年半にわたって合宿を続ける南スーダンの選手たちが余ったワクチンの接種を受けた。新型コロナウイルスの感染拡大で帰国できず、練習のかたわら、地元との交流を続けてきた▲南スーダン出身のグオル・マリアルさん(37)の半生を追った米ドキュメンタリー映画「戦火のランナー」の試写会にも招待された。内戦下に難民キャンプから米国に渡ってマラソン選手になったマリアルさんは祖国の英雄だ。ロンドン五輪に難民として個人の資格で参加し、リオ五輪では初の南スーダン選手団の旗手を務めた▲映画は今月から全国で順次公開されている。「難民はトラブルメーカーではない。機会を与えられれば、受け入れてくれた社会に貢献できる」。マリアルさんが小紙に語ったメッセージだ▲きょうは国連の「世界難民の日」。難民に社会の一員として平等な機会を与えることを示す「インクルージョン」(包摂)がテーマだ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は日本各地のランドマークを国連カラーの青にライトアップする▲サッカー・ワールドカップ(W杯)予選で来日し、軍事政権に抗議したミャンマー代表選手が難民申請の意向を表明したばかりだ。国会では厳しい難民認定を放置したまま、申請機会を制限する入管法改正が見送られた▲世界の関心は難民受け入れの是非ではなく、いかに「包摂」を実現するかにある。青い光を眺めて周回遅れの現実を考える機会にしてはどうか。

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