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みずほ銀の障害報告書 顧客軽視を改められるか

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 過去の教訓を生かすことができない組織の欠陥が、改めて浮き彫りとなった。

 みずほフィナンシャルグループは、傘下のみずほ銀行が今年2~3月に起こしたシステム障害について、第三者委員会の調査報告書を発表した。明らかになったのは、2週間足らずの間に起きた4度のトラブルが「人災」であるということだ。

 みずほ銀は、2018年に、客のカードや通帳が現金自動受払機(ATM)に取り込まれる障害を起こしていた。しかし、軽微なものと見なして、公表すらしていなかった。

 問題を軽視したことが、今回の大きな混乱につながった。2月末の最初の障害では、カードなどが取り込まれたケースが5000件超あり、多くの客がATMの前で長時間待たされた。

 報告書によると、18年の障害を機にATMの仕様を見直していれば、今回のトラブルの約9割は防げた可能性があるという。

 組織力の弱さも問題だ。

 全国のATMの約8割が停止したが、状況が過小評価され、経営陣への報告が遅れた。みずほ銀の藤原弘治頭取が知ったのはインターネットのニュースで、発生の約3時間半後だったという。

 問題の重大さに気付かず、組織的な対応ができない背景には、顧客軽視の姿勢がうかがえる。

 多くの客がATMの前で立ち往生する状況は、本社のさまざまな部門が把握していた。だが、原因解明や復旧に目を奪われ、対応は後手に回った。

 メガバンクは、コスト削減のため支店を減らし、ATMなどの利用を促している。個人客に接する機会が減り関心が払われなくなっているとすれば、論外だ。

 みずほが過去に起こした2度の大規模障害でも、組織内の連携不足など企業風土が問題視された。

 今回の報告書も、「失点を恐れて積極的・自発的な行動をとらない」などの企業風土が根底にあると断じた。

 風通しの悪さや減点主義が、顧客を後回しにする姿勢につながっているのではないか。

 このような企業体質を抜本的に改めない限り、失われた信頼を取り戻すことはできない。

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