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銀橋のきらめき

映画、演劇評論家・薮下哲司さんが宝塚歌劇団の公演や役者などを紹介します。

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タカラヅカ余話 月組トップコンビ退団公演「桜嵐記」 胸に迫る、滅びの美学

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 宝塚歌劇史上に残る名作が誕生しました。宝塚大劇場で上演中の珠城(たまき)りょう、美園さくらの月組トップコンビのサヨナラ公演となった、ロマン・トラジック「桜嵐記(おうらんき)」(上田久美子作・演出)がそれです。南北朝時代の武将、楠木正行(まさつら)に題材をとった歴史ロマンです。

 南北朝時代とは、鎌倉幕府の滅亡後、後醍醐天皇率いる公家の天下に反旗を翻した武家の足利尊氏が光明天皇を擁立して京都に北朝を立て、吉野に逃れた後醍醐天皇の南朝と争った時代。「桜嵐記」は、最後まで南朝に殉じた楠木正成の遺志を継いだ息子、正行の人生を描いています。

 楠木正成、正行親子の話は「太平記」で知られ、1991年のNHK大河ドラマでは武田鉄矢、中村繁之らが演じていました。正成が河内の国守を任され、人望が厚かったことから地元では「楠公(なんこう)さん」と親しみを込めて呼ばれ、現在も大阪府河内長野市を中心に「楠公さんを主人公にした大河ドラマを」と誘致運動が行われているくらいです。今回の舞台化でも、正行は農民を苦しめる戦は極力避けて、和睦を望む武将として描…

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