消えゆく「純」吉野の葛 原料採る「掘子」、奈良で数人に

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国産のクズの根から精製された葛粉と葛餅=井上天極堂提供
国産のクズの根から精製された葛粉と葛餅=井上天極堂提供

 夏の味覚・葛(くず)餅や葛切りなどに使われる奈良県吉野地方名産の葛粉「吉野の葛」が危機に直面している。山中に自生するクズの根を採取する「掘子(ほりこ)」が県内数人レベルまで減り、本来の原料である県産葛の入手が難しくなっているのだ。奈良県吉野地方周辺で精製されたことを示す地域団体商標の「吉野葛」「吉野本葛」でも、使われる原料葛は中国産や九州産が大半を占める。精製も原料も純県内産の吉野の葛は幻となってしまうのか。

 「もう取引のある掘子さんは1人しかいない」。1870年の創業以来、吉野地方周辺で葛粉を作り続けてきた「井上天極堂」(同県御所市)の川本あづみさん(43)はため息をつく。同社の所在地はかつて葛村と呼ばれ、毎年村人が総出で葛根を採っていた。そんな葛粉作りの盛んな地域でも、今春は県内産の原料葛の入荷はほぼゼロになったという。

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