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デジタル教科書 「学びの質」高める活用を

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 デジタル教科書の活用について、文部科学省の有識者会議が報告書をまとめた。

 本格的な導入の時期を2024年度と明記し、紙の教科書との併用を軸に検討していく方向性を示した。

 デジタル教科書は紙と同じ内容で、パソコンやタブレット端末の画面に表示して使用する。

 教科書の内容と関連した動画を補助的に組み合わせて使うことによって、子どもの理解を深める効果が期待される。自分の意見を書き込んだ画面を電子黒板などに映し出し、クラスで共有することもできる。

 さらに、画面の文字の拡大や文章の音声読み上げが可能なため、障害のある子どもや外国人の学習にも役立つ。

 ただ、学習効果の検証はまだ十分とは言い難い。

 見ただけで「分かったつもり」になってしまう恐れがあるという指摘もある。紙の方がじっくりと読むことができるため、読解力が身につくと主張する専門家は少なくない。

 大切なのは、子どもが主体的に考える力を伸ばすことである。

 紙とデジタルをどのように組み合わせれば最も効果的かを見極め、両方の良さを生かした併用のあり方を探りたい。

 本格導入に向けては他にも解決すべき課題が多い。

 義務教育の教科書購入費は国が全額を負担しているが、現行制度では対象が紙に限られている。デジタル教科書も無償化が当然で、併用を念頭に置いた制度改革の議論が必要だ。

 自宅に持ち帰って使うには、各家庭で通信環境が整っていることが欠かせない。経済的に困窮する家庭の通信費用をどう支援するかも検討課題となる。

 教師にデジタル教科書を使いこなす技量も求められる。地域や学校による教育格差が生じないよう、研修を充実させるべきだ。

 文科省は今年度、全国の小中学校の4割で、デジタル教科書を試験的に活用する事業に取り組んでいる。学習効果のほか、視力など健康面への影響も調べる。

 導入の日程ありきでなく、課題を丁寧に洗い出し、学びの質の向上につなげなければならない。

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