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いのちを宿した救急救命士 第一線で見続けた「命の選択」

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大みそかの平成立石病院で笑顔を見せる、妊娠7カ月だった救急救命士の横田ちひろさん(右)と大桃丈知医師=東京都葛飾区で2020年12月31日午後2時13分、北山夏帆撮影
大みそかの平成立石病院で笑顔を見せる、妊娠7カ月だった救急救命士の横田ちひろさん(右)と大桃丈知医師=東京都葛飾区で2020年12月31日午後2時13分、北山夏帆撮影

 これまで600人を超える新型コロナウイルス感染者を受け入れてきた平成立石病院(東京都葛飾区)。救急救命士の副リーダーだった横田ちひろさん(29)は、おなかに小さないのちを宿しながら、第一線で新型コロナ対応にあたってきた。そんな彼女が見た「命の選択」とは――。【北山夏帆/デジタル報道センター】

「休めない」新型コロナの第一線

 記者が横田さんに初めて出会ったのは、2020年の大みそか。この日の都内の1日の新規感染者数は1337人と、初めて1000人を超えた。新型コロナの第3波のさなか、年の瀬にもかかわらず奮闘する医療機関の取材だった。

 ナースステーションをのぞくと、まだクリスマスツリーが飾られたまま。外来の診察室も、年の瀬だと忘れるほど、慌ただしい雰囲気に包まれていた。めまぐるしく動きまわる医療従事者の中で、ひときわ大きなおなかで働いていたのが、妊娠7カ月の横田さんだった。

 妊娠が分かったのは昨年8月。第1子ということもあり、夫の祐樹さん(33)には「休めないのか」と心配された。だが、恐怖を抱きながらも多くの仲間が未知のウイルスと闘っていた。体調に少しでも変化があれば休むという約束で、仕事を続けることを決めた。「これが私の仕事ですから」

 横田さんら救命士が所属する同病院の救急科は、日本DMAT(災害派遣医療チーム)の一員として、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染にも対応した大桃丈知(たけとも)医師(57)が2016年に創設した。ここでは、他の病院のような事務職員ではなく、救命士が24時間態勢で救急要請の電話を受ける。大桃さんは「消防側と救命士同士がやりとりすることで、素早い状況の把握と迅速な急患の受け入れが可能となる」と利点を語る。

 横田さんはこの日も、…

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