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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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君主の非を臣下がいさめるのが諫言だが…

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 君主の非を臣下がいさめるのが諫言(かんげん)だが、孔子(こうし)は「諫に五あり」と述べたという。まず正面からいさめるのが「正諫」、いったんは君主に従った上での諫言を「降諫」、真心をもっていさめるのを「忠諫」という▲愚直にいさめる「戇諫(とうかん)」、遠回しになされる「諷諫(ふうかん)」というのもある。君主の機嫌次第で命も奪われる諫言だから、いさめる方も正面作戦だけではなく、迂回(うかい)作戦やからめ手からの攻め、泣き落としなどあの手この手を用いたようだ▲こちらの方の“諫言”――「無観客が望ましい」というコロナ禍の下での五輪の専門家提言は受け入れられなかった。当初予想された五輪中止の提言を避け、首相の主要国首脳への五輪開催公約をふまえての「降諫」もむなしかった▲五輪の観客上限を定める組織委や政府、国際オリンピック委(IOC)などの5者協議は「定員の50%で、最大1万人」との政府の国内基準に準じる方針を決めた。「1万人」基準と五輪とは別という専門家への約束もほごとなった▲たださすがにまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が再発令された時など、感染状況次第で「無観客」も検討するという。こちらは専門家が示したようなリスク評価にもとづく措置ではなく、すべては成り行き次第ということらしい▲開会式では1万人の観客に加え、スポンサー枠などで関係者の入場も多数見込まれる。こちらは公衆衛生上のリスクなど超越した特別枠か。五輪の実相を次々に浮き彫りにする専門知による諫言である。

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