学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書が改ざんされた経緯を記した「赤木ファイル」が開示された。
改ざんに加担させられ、自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さんがまとめた文書だ。
抵抗する近畿財務局に対し、財務省が削除や修正を強く指示するメールや、修正部分を明示した文書などが残されていた。
メールの中には「当該箇所をマーキングしておきました」と改ざん部分を具体的に示し、できるだけ早急に対応するように念を押しているものもあった。
森友学園と安倍晋三前首相の妻昭恵氏の関わりが表面化し、国会で疑惑を追及された安倍氏は「自分や妻が関与していたら首相も国会議員も辞める」と言い切った。その後、改ざんは始まった。
主導したとされるのは当時の理財局長、佐川宣寿氏だ。佐川氏も国会で野党に追及された。
メールには「局長の指示により、国会答弁を踏まえた上で作成するよう直接指示があった」と、佐川氏の圧力を示唆するものも保存されていた。
赤木さんが備忘録として残した文書「本省の対応」には、森友学園を厚遇したと受け取られる恐れがある部分を削除するとの財務省方針が明記されていた。これに対し「厚遇した事実はない」と現場が反対した経緯も記されていた。
「既に決裁済みの調書を修正することは問題があり、行うべきではない」と財務局が本省に抗議したとの記述もあった。
改ざん発覚後、財務省がまとめた調査報告書も、改ざんの指示に財務局が反発したことに触れていたが、ここまで詳細な内容が明らかになったのは初めてだ。
赤木さんは公務員として誇りと良心を持って仕事をしていたのだろう。それを踏みにじる国の異様さが浮き彫りになった。
政府が長く存在すら明らかにしていなかったファイルがようやく開示された。だが、なぜ佐川氏が改ざんを主導したのか、問題の核心は不明のままだ。麻生太郎財務相は記者会見で再調査をする考えがないことを改めて強調した。
森友問題は終わっていない。赤木さんの遺志を無駄にしないためには全容の解明が必要だ。