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東芝が2020年7月に開催した定時株主総会を巡り、外部弁護士のまとめた調査報告書は、東芝と経済産業省が、一体となって一部株主の動きを封じ込めようとする異様な関係にあったことを浮かび上がらせた。「経済安全保障」の名の下に、水面下で行われた一連の介入。問題はどこにあるのか。外資系ファンドを絡めて企業買収の舞台裏を描く小説「ハゲタカ」シリーズの小説家、真山仁さんに聞いた。
――報告書には、外資系ファンドなど「物言う株主」の提案を通したくない東芝経営陣と経産省幹部が、毎日のように作戦を話し合いながら、外資規制の発動をにおわせて、一部株主に圧力をかけていた様子が克明に描かれています。報告書をどう読みましたか?
◆小説でもこんなことは起こりません。日本は自由主義経済と資本主義の国のはず。今回、経産省がやったことは、常識的に考えれば、あり得ません。
東芝の経営問題の発端は、15年に発覚した不正会計でした。良い製品を作ることを通じて評価を高め、株価を上げるのではなく、業績数値の操作に走ってしまった。東芝はその後もIT子会社による循環取引が判明しました。経産省の仕事として、こうした体質が変わらないまま、ぼろぼろになった東芝を厳しく指導するというのなら、まだ分かります。
ところが、調査報告書によれば、株主総会の対策に介入し、あろうことか株主側に圧力までかけたという。物言う株主という存在の功罪が議論されることがありますが、今回はそれ以前の問題です。
――東芝が安全保障上の重要な会社であることを理由に、経産省はこうした介入は妥当なものだと主張しています。
◆東芝は原発や防衛装備も手がけており、昨年施行の改正外為法で、国が株主の動向を厳しく審査する「コア業種」の適用企業に位置づけられました。「東芝が担う重要な事業の安定的な発達をはかるため、経産省として当然の介入だ」という主張は一見、分からなくはありません。例えば、外資が東芝を丸ごと買収しようとして、重要な事業である原発事業などを切り離さずに買収を強行しようとするならば、むしろ経産省による介入は必要です。
しかし、…
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